このインプラント、実は手術をして歯を入れるまでの準備治療にやたら時間がかかる。しかも、場合によっては死亡事故につながることもある大変な施術なのだが、そのような説明を一切せずに、いいことばかり並べたてて勧める医師も多いという。

「良心的な歯医者は絶対に過剰診療をしません。治療を最小限にできるよう心がけ、予防に力を入れてくれるのが良い歯医者です。そもそも、“歯医者は痛くなったら行くところ”という考え方は改めたほうがいいと思います。歯医者は虫歯や歯周病で歯を失わないために通うところです。まずは日頃の口腔ケアをしっかり行い、そのチェックをしてもらうのが、歯医者の上手な活用法です」(A氏)

 まずは歯磨きを欠かさないことが大事とのこと。そこでA氏に、歯を失わないためのメンテナンス法を教えてもらった。「歯ブラシはヘッドが小さく毛の短いものを選び、歯と歯の間や、歯と歯茎の間を優しく小刻みにブラッシングします。磨ききれない部分は、必ずデンタルフロスや糸ようじを使いましょう。とにかく歯茎を守るために歯石を溜めないこと。実は、歯を失う一番の原因は歯周病なのです」(前同)

 最近、“歯は磨かないほうがいい”といった題名の本がいくつか出て話題になったが、これを額面通りに受け取ってはいけない。その内容は“歯を磨くのではなく、歯垢や歯石の原因となる細菌を取り除く”というものなのだ。

「大切なのは歯茎のケアです。歯周病になると歯は抜け落ちてしまいますし、放っておけば歯周病菌が全身に回り、心疾患や呼吸器疾患を招くともいわれています。また、糖尿病や認知症との密接な関係も指摘されています。歯周病予防は絶対に欠かせません」(同)

 中高年の9割が歯周病という話もある。まずは歯科で検診を受けるべきだろう。「まずは歯と歯茎の健康チェックと歯石除去のために歯医者に通い始め、そこで自分の歯磨きが正しくできているかを指導してもらいましょう。この2つが丁寧な歯科医は、信頼できる歯科医だと言えます」(同)

 歯科医が増えたということは、選択肢が増えたということでもある。そう捉えて、気軽に歯医者探しをしてみてはいかがだろうか。

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