■経済損失95兆円の可能性も

 そして、もう一つの巨大地震が首都直下型だ。最大震度は7。特に東京、神奈川の多くの地域で、震度6以上の大きな揺れに襲われることになる。

「最大で死者2万3000人、経済損失95兆円ともいわれています。日本の首都機能が大きな被害を受けるため、未曽有の混乱も予想されます」(前出の記者)

 火山の専門家でもある前出の木村氏は、首都直下型によって引き起こされる火山被害にも言及する。

「首都直下型地震に関係する、太平洋プレートの南側の境界は、富士山まで海底で連動しています。南側の小笠原や伊豆諸島付近で大地震が起きた場合、そちらのプレートの力が抜け、北側の富士山のほうに力がかかってくる。すると、富士山のマグマだまりが押され、噴火につながる可能性もあるんです」

 富士山の大噴火ともなれば、首都圏にさらなる被害が出てしまうことは言うまでもない。そんな首都直下型地震は、今後30年以内の発生確率が70%と、かなり高い数値になっている。

「首都直下型の地震は、海溝型と違って、予測することが非常に困難。もはや、いつ起きてもおかしくないという意識を持つべきです」(島村氏)

 こうした大地震の予測について現在、多くの機関が研究をしているが、まだまだ発展途上の段階。そこで注目されるのが、「宏観異常現象」と呼ばれる現象だ。これは大きな地震が起こる前、異常気象や生物が異常な行動が起こすことを指す。

「今回の地震直後の2月15日には、三宅島海岸で大量のイワシが打ち上げられました。また、西ノ島の噴火が再活発になる兆候が見られるなど、このところ本州で小規模地震が多くなっていますが、太平洋プレート南側境界で大きな地震が起こる“前兆”と考えることもできるかもしれません」(前出の木村氏)

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