■セットとCGでヴァーチャルな渋谷を描く
一方、東京の姿そのものを物理的に超現実の絵面にするためには、より大掛かりな処理が必要になる。そうした道具立てを用いた乃木坂46の映像作品が、2021年に入って発表された「Wilderness world」MVである。
https://www.youtube.com/watch?v=dvF5g1rvt-c
(※「Wilderness world」MV)
同MVは、2019年に栃木県足利市に建設され、その後スタジオとして存続している「渋谷スクランブル交差点」のオープンセットを用いて撮影された。
精巧に作られた道路面とCG再現による建物部分とによって、非常にリアルな渋谷の街並みでありつつ、一方できわめてアンリアルなレベルで、メンバー以外の人物や車両など人々の息遣いを感じさせる諸要素が排された画を実現している。また、MV後半ではそのように漂白されたスクランブル交差点をネオンカラーで彩り、さらに虚構のレベルを上げてみせる。