■熱燗ベスト3は!

 そんな熱燗にしておいしいカップ酒3位は、大阪府の『秋鹿 千秋 純米酒』だ。

「醸造元は、大阪でも自然豊かで、おいしいお米の産地である能勢町にあります。このお米のおかげか、千秋は日本酒本来の米のうま味と甘みがしっかりしている。燗酒にすると、酒の芳醇さがより一層、際立ちます。

 私は寒い季節、外でバーベキューをしたときに、この千秋を飲んだことがあるんですが、外の冷やっとした空気と熱燗の芳醇なうま味がマッチし、バーベキューの肉が一層おいしく感じられました」(北井氏)

 2位には島根県の『玉櫻純米 悠々燗々』。

「この日本酒は燗酒にすることを前提に造られています。熟成時間がやや長いせいか、味に深みや甘さがあるんです。それを燗酒にすることで、キリッとした辛みが出てくるんです。手酌のツキノワグマが描かれたデザインも、かわいらしくて人気です」(藤生氏)

 そして1位に選ばれたのは、数ある酒どころを抑え、東京の『喜正 純米酒』だ。

「あきる野市の酒蔵が造っているお酒です。社長さんが本格的に酒造りを始めてから、まだ6年目ですが、近年は酒質もグングン上昇、米の味をしっかり出して、お燗での味の膨らみはホッとするうまさ。“東京に地酒なんてあるの?”なんてイメージを持っている方に、ぜひ試してほしいですね」(印丸氏)

 地酒専門店を中心に売られている“隠れた銘酒”は、熱燗にすることで、芳醇さがより引き立つという。

 ちなみに、カップ酒を熱燗で飲むときの注意点としては、温める前に必ず、容器に書かれた説明書きをチェックすること。

「燗酒は、湯煎が基本。お湯で温めると、まろやかな味わいになってよりおいしく仕上がります。ただ、大関のワンカップに“60度以下のお湯は大丈夫ですが、耐熱ではないので割れる可能性もあります”と注意書きがあるように、カップによって温度や温め方は変わってきます。火加減も難しいので、カップ酒の手軽さを生かすなら、レンジ燗が無難です」(北井氏)

 レンジで温める際も、ちょっとしたコツがいる。

「一気に温めるのではなく、20秒くらいずつ温めるのがポイント。そして、味見をしながら、“さらに10秒”といった具合に、ちょっとずつ加熱をしていく。自分の好みの温度、味になった瞬間を逃さないように工夫しましょう。この方法なら、簡単においしくできると思いますよ」(前同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5