■純レバ丼が看板メニュー

 この純レバ丼を出す店は他に都内にいくつか存在するが、すべて亀戸の菜苑とは縁戚関係にある。筆者はいつも浅草千束通りの「味の工房 菜苑 本店」か、それ以前には同じ浅草でもすしや通りの、本店創業者の次男が経営する「あづま」で食べていた。

 純レバ丼は本店の先代店主が考案したメニューで、筆者は未亡人からその経緯もヒアリングしている。ところが、あづまは17年、自ら出した火災を契機に休業の後に閉店。本店も19年の区画整理で閉店を余儀なくされたが、少し離れた場所に再オープンし、店名も「ニュー菜苑」と改まった。そちらは未訪問だが、変わらず純レバ丼が看板のようだ。

 といった事情もあり、最近では多くのグルメ本や記事に亀戸の菜苑ばかりが取り上げられる。それで嫌気が差したのか(コロナ禍の合間というのもあったが)、一昨年に取材申請した際、ピシャリと断られてしまった。この純レバ丼はVシネマの帝王、小沢仁志さんの好物でもあり、彼と町中華数軒を巡る某誌の企画で交渉したのだが、やむなく別の界隈の店を選んだ次第だ。

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