■南海トラフ、首都を襲う直下型地震の恐ろしさ

 特に大きな被害が想定されるのは、南海トラフを震源とする巨大地震だ。

「政府発表では、30年以内に70~80%の確率で最大震度7、M8~9クラスの地震が起こるとされています。経済被害は220兆円超、死者は32万人超という試算もあります」(科学誌ライター)

 島村氏は南海トラフ地震の恐ろしさをこう解説する。

「南海トラフは範囲が広く、南海だけでなく、東南海、東海も連動して地震が発生する可能性もあり、その場合はM9クラスとなる。三つが連動すれば、宝永地震(1707年、M8.6~9クラス)のように、富士山の噴火が引き起こされることも考えられます」

 また、北海道地方でも、M8以上の巨大地震の予測が。十勝・根室沖を中心とする、千歳海溝では発生の確率は3~40%。中でも根室沖はM8程度が、80%の高確率で予想されている。

「また、東北地方では北は青森、南は福島まで、それぞれの沖合で危険度の高い地震が予想されています」(前出のライター)

 予想では太平洋沖が多いが、日本海側も危険が潜む。

「1983年5月の日本海中部地震(M7.7)で日本海東縁というプレートの存在が判明しました。このプレートの秋田県沖から佐渡島北方沖は、近年地震が起きていないので、近く起きる可能性が否定できません。起きれば、周辺の新潟市などが、大きな津波被害を受けることが予想されます」(前出の島村氏)

 そして何より脅威なのが、首都を襲う直下型地震だ。

「関東にかかる海溝型の相模トラフ地震の発生確率は3~26%ですが、首都直下型の場合、海溝型とは別に活断層によって引き起こされる地震も原因となります」(全国紙科学部記者)

 その発生確率も高く、「過去に発生したM7前後の大地震の周期をもとに、政府は、最大震度7、M8~9の地震が今後30年間で70%の確率で起こると予測しています」(前同)

 被害推定も甚大で、経済被害は95兆円と算出されている。島村氏も、首都圏を襲う巨大地震について、このように予測する。

「M7クラスでも、人口密集地の首都圏直下で起きると、甚大な被害がありえます。大きな被害をもたらした1995年の阪神・淡路大震災もそうでした。首都圏では、相模トラフの海溝型と、活断層型の二つに注意する必要があるんです」

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