■防災グッズの準備を

 続いて、被災時に役立つ防災グッズの準備。被災後の数日間を生き残るため、今回はそろえておきたい4種のアイテムをピックアップした。詳しくは最終ページの表を参照してほしいが、近年重要性が認知されているのが“非常用持ち出し袋”。選ぶ際に、気をつけるべきポイントがある。

「背負ってラクに走れる重さの持ち出し袋を買いましょう。重さの原因となる食料や水は、最小限にしてください。また、メガネや補聴器、持病の薬など、自分だけの日常アイテムを入れておくのも忘れずに」

 加えて、購入後に必ず行ってほしいのが、応急手当キットの確認だ。

「三角巾、滅菌ガーゼ、傷パッドは最低でもそろえましょう。震災時は医療機関へ大勢の患者が押し寄せ、平常時と同様の医療を受けるのが困難になります。使用法など、応急手当の知識も不可欠ですね」

 意外に見落としがちなのが“非常用トイレ”だ。避難生活の快適性に深く関わる重要グッズだが、ポイントは数と処理への備え。

「1人当たり1日5回~7回の目安で、最低でも1週間分は備蓄したほうが安心ですね。また、使用後は袋に入れて処理するので、日頃からゴミ袋などをストックしておきましょう」

 地震に襲われた後の行動も、命を守る重要なポイント。第一に考えるべきは、自宅倒壊の恐れがあるかチェックしたうえで、事前避難をするかどうか。

「大地震が発生後、1週間前後は、余震が続くことが分かっています。アパートなどの集合住宅や、1981年6月以前の認可で建てられた“旧耐震基準”の木造住宅にお住まいの人は、ひび割れなど、家屋のダメージを見て危険を感じたら、屋外退避をしてください」

 自宅で避難生活を送る場合も、余震に備え、すべきことがある。

「避難しやすい場所に非常持ち出し袋や、防災グッズを集めた“安全ゾーン”を作ってください。 家具やガラス窓が比較的少ない、玄関がオススメです」

 最低限の安全が確保できたら、次は、ライフラインが停止した際の対策を。

「特に大切なのは、飲料水の確保です。もし、水道水を保存するならば、煮沸せず、そのまま容器に入れてください。沸騰させると殺菌力のある塩素が飛んでしまい、水が長持ちしません」

 最後は、夜間の停電対策だ。高荷氏いわく、夜間の余震は、非常に危険度が高いという。

「人間は夜目が効かず、暗闇で被災すると何もできません。対策として、停電時に自動点灯をする照明を廊下に設置したり、枕元に懐中電灯を準備しましょう」

 正しい知識と準備を心がけ、大地震から命を守ろう。

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