■「声」の魅力も素晴らしい

 吉沢亮の魅力は、美しすぎる顔の造形だけに留まらない。

 顔を出さずとも「声」で伝える表現力の高さに、声優としての期待も高まりつつあるという。

「吉沢さんは、21年に公開された映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』で、ゲストキャラのロディ・ソウル役の声優を務めています。原作は2014年から「週刊少年ジャンプ」にて連載されている堀越耕平によるヒーロー漫画で、“無個性”だった主人公が最高のヒーローを目指し仲間とともに成長していく、という物語ですが、吉沢さんのロディは映画オリジナルのキャラクターでした」(映画ライター)

 映画の公式パンフレットで、原作者である堀越は次のように語っている。

「やっぱりこの映画の肝というか、『ここが失敗したらダメだろう』というポイントは出久(※山下大輝(32)が演じる主人公)とロディの掛け合いだと思います。」

 それほど作中の重要度が高いキャラクターを担った吉沢だが、同パンフレットのスタッフインタビューで、長崎健司監督はアフレコ時の「吉沢さんの読解力と記憶力に驚かされた」と語っている。この指示はORICON NEWSで共演者の山下が「ゲスト声優の方に対する指示じゃなかった」と驚いていたほどの高度な欲求であったが、吉沢は「勘の鋭さ」と「ディレクションへの対応力」で見事に応えていたという。

 山下は映画の入場者得点の小冊子「Vol.World Heroes」でのインタビューでも吉沢に言及。演技力の高さに驚くとともに、「何より、ロディとデク(=出久のあだ名)として掛け合いできることが本当に楽しくて」と嬉しさを露わにしていた。

 お調子者でひょうひょうとしているが本心は誰にも明かさない性格のロディは、出久と様々な困難を乗り越えていくうちに、徐々に信頼関係と友情が芽生えていく。

「ロディは、過去の家庭事情や自分の“個性”の特性ゆえに、自己の感情や情動を押し殺し、あえて他人に対して軽く振舞ってきたのではないかと思います。それが、出久をはじめとした同年代のヒーロー達と関わることによって、だんだん喜怒哀楽を見せてくれるようになる。本音と建前から彼の心の機微が垣間見えて、観客はつい目が離せなくなってしまうんですよね」(コミック編集者)

「気持ちの変化」に伴い少しずつ明かされていくロディの素直な感情を、吉沢は見事に声の演技で表現し、観客の心を鷲掴みにした。

 本映画にて声優を務めた吉沢だが、実は「文字」での出演もしている。

 作中にロディの借用書が登場するが、そのサインは吉沢自身が書いたということが、8月7日の公開記念舞台挨拶で明かされた。

 その文字について吉沢は、「“あえて”汚く書いてるんです!僕の思うロディを表しています」と述べ、声だけでなく文字でもキャラクターらしさを伝えるという表現力を見せつけた。

 この吉沢が声をあてたロディ・ソウルだが、2021年12月6日発売「週刊少年ジャンプ新年1号」で発表された『僕のヒーローアカデミア 第7回人気投票』で、第9位となる快挙を成し遂げた。

 映画オリジナルのキャラの思わぬ快挙に、「僕のヒーローアカデミア “ヒロアカ”アニメ公式Twitter(@heroaca_anime)」は、「アニメ公式としても意外な、でも嬉しいキャラがトップ10にランクインしています」と投稿した。

 吉沢の心に響く声があてられたからこそ、ロディは多くの人に愛される魅力的なキャラクターとなったのだろう。

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