■際立った山本と長澤の演技力

「“メフィラス”は初代『ウルトラマン』に登場した、攻撃力もさることながら知略に長けている強敵です。直接的な表現は避けますが、山本さん演じるメフィラスはどこまでも胡散臭くて食えない強烈なキャラクター。人間の姿でも“メフィラス”の怪しさ、表向きの紳士さが絶妙でした。

 ちなみに、同じく特撮作品では山本さんは19年に『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)では善玉キャラの“飛電其雄(ひでん・それお)/仮面ライダー1型”を演じていました。“主人公の親代わりのロボット”という役で、やはり“立ってるだけでロボに見える”という演技力の高さが評価されていました。山本さんは“ロボ”や“外星人(宇宙人)”など、人間とは違う存在のキャラを演じることにかけては最高の役者かもしれません」

 山本の演技について、SNSでは、

《シンウルトラマンのメフィラスみたいな、「嘘を言ってるわけじゃない、むしろ本心をちゃんと吐露してるんだけど、ぜんぜん信用できない」みたいな悪役の作り方、非常に高度だけど成功すると魅力的な悪役ができるなあと思った。シン〜では山本耕史さんの演技力がその微妙なポイントを完璧に表現してる。》《山本耕史のメフィラス星人を観るためだけにシンウルトラマンを観る価値はあるよ(マジで画面に出てきてる時は完全に主役の座を奪ってたからな……)》《山本耕史のメフィラス星人はマジで後世に語り継ぐべき。あんなに完璧なメフィラス星人は滅多にいないよ》

 と絶賛の嵐だった。

「長澤さんについては気合を入れるときに、自分のお尻をバシッと叩くクセを筆頭に、代表作である『コンフィデンスマンJP』のダー子を思い出すタフさと茶目っ気の混じったキャラでした。

 基本的に淡々とした口調の“神永新二/ウルトラマン”と違い、会話内容こそ知的ながらも感情を表に出すキャラだったことにくわえ、神永の“バディ”だったこと、メフィラスが登場した場面で“原作ファンならほぼ確実に想像したオマージュシーン”があったことなどなど、人間キャラでは長澤さんが一番と言っていいほど見せ場が多かったですね。ともすれば蛇足と呼ばれがちな“恋愛ドラマ”も、この作品ではいい味を出していました」

 映画パンフレットで本作の脚本を長澤は「浅見(自分の役)のウルトラマンに対する思いがロマンチックでグッときました」と話したほか、

「浅見は禍威獣の分析官なんですが、よく映画とかドラマで、精神分析官がだんだん分析対象に飲み込まれて自分の価値観がグラグラと揺らいじゃうような物語があるじゃないですか。そういう資質が浅見にもあるんだと思います。ウルトラマンを分析していく中で、自分の固定観念が覆されてしまって、感情が揺り動かされる。映画が進むにつれてそこを感じていただけるのではないかと思っています」

 と、長澤は分析していた。

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