■母・斉藤由貴が強烈すぎる

 サリューの存続も決まり、柊磨もこれから新たなスタートが始まるといういうのに、柊磨の母親・真弓(斉藤由貴/55)の存在が気がかりだ。柊磨と一緒に暮らす条件から想像するに、ギャンブルや酒の依存症で地方の施設にいたことが伺える。そして、人間に対しても依存度が高い女性であることを敏感に察知した純の反応は早かった。

 柊磨に対する態度がべったりしていて、母親の愛情とはとても思えないこと、ひとりの女として柊磨を独占しにきていることが手に取るように伝わってくる。決定的なのは、真弓の純を見る目だ。独占欲の塊のような目で、私のものを取り上げるなと言わんばかりに敵意むき出しなのだ。

 恋愛には疎い純だが、この手の女性であることはすぐに分かっただろう。決定的だったのは、探していた髪留めのバレッタがゴミ箱に捨てられていたことだ。真弓の仕業であることは明確であり、真弓の本心を見たようでゾッとした。

 それにしても、真弓のひとりの女として生きている感がすごい。いくつになってもキレイでかわいらしくいたいし、恋をしていたい。自分の愛するものを守りたいと思う気持ちを隠さずに正面からぶつかってくる真弓を、こわいと思うのは当然だろう。そして、それを見せつけてくる斉藤由貴の芝居が見事だった。

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