■リメイクの難しさを乗り越えられるか

 しかし、大ヒット作のリメイクで、本家に寄せたキャストだからこそ、視聴者は常に比較してしまうだろう。また、入国制限が緩和されることを期待してか最近、韓国情報を扱う番組が増えているが、特に『梨泰院クラス』の聖地巡礼の紹介が多く、これを見て感動が再燃したファンならなおさらだ。

 また、舞台を六本木したことも問題だ。梨泰院はソウルの飲食激戦区で、外国の文化や人が集まり、さまざまなタイプの飲食店ががしのぎを削る街。六本木は条件は近いものの、高級店が集まる大人の街のイメージが強い。主人公が登場するシーンを見ていて、違和感を感じてしまいそうだ。

 さらにオリジナルは当初、韓国のケーブルテレビ局で放送されていたため、過激な暴力の演出が効果的に使われていたが、今回は地上波放送であるため、抑えめなシーンに改変されてしまうだろう。そうなると、主人公の絶望や復讐心の説得力が削がれてしまいそうだ。

 テレビ朝日は『科捜研の女』や『警視庁・捜査一課長』などの人気シリーズを長年にわたり放送してきた、“木曜ミステリー”枠を7月期の『遺留捜査』をもって終了することを発表している。今後は若者層を取り込みたいようだが、『六本木クラス』によってその狙い通りといくだろうか。

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