■横山裕の壮絶な過去

 ネットで「横山裕」で検索すると、すぐ「生い立ち」というワードが出てくる。19年12月28日放送の『NHKスペシャル 令和家族 幸せ探す人たち』で、横山が自身の壮絶な過去について語ったためだ。この番組はいくつかの動画サイトにアップされており、現在でも内容を確認できる。

 2組の家族の幸せを求める姿を追う、この番組ではまず、虐待やネグレクトなど様々な理由で、実の親と離れて子どもたちが暮らす里親家族を訪ねる(一方で、30年以上前に夫をがんで亡くした脚本家の橋田壽賀子の日常を、長年連れ添った妻を亡くして間もない元野球監督の野村克也が見つめるという2部構成になっている)。

 自らも幼い頃に両親が離婚し、義父に虐待を受け、祖父母の下で育てられた経験を持つ横山が里親家族の訪ね人になる。

 そこで横山が語った半生は確かに悲惨だった。裕福な家に生まれながら、両親の離婚を機に3歳で実父と別れ、5歳で母が再婚した義父にも馴染めず、しばしば手を上げられた。そして、祖父母に預けられるも、中2で祖父が病没したため家に戻り、再び暴力を受けるようになり、高校進学も許されなかった。

 横山は建設会社に就職し、ほどなくジャニーズ事務所に入所し、レッスンを重ねたのだ。訪問した里親家族も『コタローは1人暮らし』の設定も、彼にはとても身近だったわけだ。

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