■『梨泰院クラス』の細部が描かれないワケ

 前述のように、『梨泰院クラス』のリメイク版『六本木クラス』はオリジナルに忠実であることが求められているようで、「大きなストーリー変更などは不可能なのでは」(前出の芸能プロ関係者)とも言われるが、加えて本家と比べると、設定など細部の“ランクダウン”も見られるという。

「日本の法律では飲酒が20歳からなので、平手演じる麻宮葵や鈴鹿央士(22)演じる長屋龍二は作中でお酒を飲むことはないのでは、とささやかれています。一方、韓国では未成年者が飲酒すること自体は問題ではないのですが、未成年者に酒類を販売した側は厳しく罰せられるため、身分証を厳しくチェックします。それが『梨泰院クラス』のストーリーにも絡んでくるのですが、そのあたりはスルーされそうな気配です」(前出の芸能プロ関係者)

 また、本家『梨泰院クラス』でキム・ダミ(27)が演じるチョ・イソはIQ162でフォロワー70万人を抱える人気インフルエンサーの高校生で、反社会的な行動や気質が特徴であるソシオパスという設定。オリジナル版の第1話は、イソがカウンセリングを受けているシーンから始まる。

  一方の『六本木クラス』では、イソにあたる葵は〈クールで自己中な性格でありながら、IQ162で運動神経も抜群、芸術的な才能にも恵まれ、高校3年生にしてフォロワー76万人を誇るインフルエンサー〉という設定で、第1話の冒頭は葵がクラブで踊っているシーンからスタートした。

「おそらく今後、イソのソシオパスという設定を葵が踏襲することはないでしょう。そうした細かい設定が“端折られている”理由。それはまず、作品の放送時間の短さがあるでしょう。オリジナルの『梨泰院クラス』は1話70分で16回の放送でした。しかし、『六本木クラス』はCMの時間を考えると1話50分ないくらいで、かつ全13回。本家と比べ放送時間が圧倒的に短いわけで、だからこそ『梨泰院クラス』ではこだわれたポイントが描けないというところはあるでしょうね。

 また、『梨泰院クラス』にはソシオパスを始めさまざまな現代社会のテーマが出てきますが、それらはしっかりと描かないと誤解が生じ、炎上してしまうリスクがある。テレ朝に限らずですが、日本の地上波テレビ局は、炎上沙汰は絶対に避けたいですよね。そうしたこともあって、本家のディテール部分が再現されないことがありそうです」(前同)

 韓国の本家サイドの意向を受け、オリジナル版をかなり忠実に再現すると見られる『六本木クラス』。そして、放送時間の問題などもありディテールはカットされる箇所も多々出てきそうだ。

「だからこそ初回が大切だったと言われています。多数の視聴者がリアルタイム視聴し、15%を超えるような数字が残ってくると、それがまた話題性になり、“見てみたい”と思う新規視聴者が出てくるからです。しかし、そうはいかなかった。

 今後も、オリジナル版とは全く違う、あっと驚くような展開があることは考えづらい。そうなると、初回を見てくれた視聴者、中には『梨泰院クラス』ファンがけっこういると考えられますが、その方たちも、“もういいかな”と思ってしまう可能性が出てくるでしょう。そうなれば、ジリ貧で視聴率下落が止まらない厳しい状況になってしまうでしょうね……」(前同)

 日韓合同プロジェクトとしてテレビ朝日が社運をかけて制作しているというドラマ『六本木クラス』。初回を終え不穏な空気が漂いつつあるが、視聴者からは「面白い」という声も多数上がっている。主演の竹内始め今、旬を迎えているトップ俳優陣の素晴らしい演技で、危ういムードを吹き飛ばしてほしい!

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