■中島裕翔が表現する大人の男とは

 中島はこれまで好青年役が多く、仕事に前向きで、恋にも一生懸命なのだが少々空回りすることもある、だけど見ていて元気が出る、という人物をとてもすてきに演じていた。フジテレビ系ドラマでいえば、『デート~恋とはどんなものかしら』(15年)では、スポーツ用品メーカーの営業社員で完全無欠の好青年なのだが、好きな人の本心は別の男性に向いているという不憫でかわいらしい男性だった。

『HOPE~期待ゼロの新入社員』(16年)では、大手商社の新入社員で会社に揉まれ、仕事の厳しさや喜びを知って社会人として成長する姿が爽快だった。『SUITS/スーツ』(18年・20年)では、大手法律事務所の敏腕弁護士の相棒として、一度見たものは完全に記憶することが可能な驚異の能力を持つフリーターを演じた。

 どの作品でも、バリッとビジネススーツを着こなし、若さと上品さを備えた好青年としか言いようのない人物ばかりだ。今回は、シリアスな恋愛もの、それも禁断の関係ゆえ歪んだ純愛に挑戦する。これまでのイメージを吹き飛ばすような新しい人物になって生きるのを、存分に楽しみたい。
(文・青石 爽)

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