■トウ演じる山本が三谷作品に起用された意外な理由

 第1回で千鶴丸を殺す際に善児は、「川あそびをいたしましょう」と川へ誘い出していたが、今回は暗殺をためらう善児を見て、義時がでは自分で、という勢いで刀に手をかけて一幡に近づいたところで、トウが義時と一幡の間に割って入り、「川あそびをいたしましょう」と一幡を連れていく、という演出。その後、痛切な表情でさきほどまで一幡が遊んでいた手作りのブランコの紐を善児が断ち切り、「一幡はもう帰ってこないこと」を表現していた。

「これが“アサシン”としてのトウの初仕事になりました。トウを演じる山本千尋さん(25)は、中国武術に精通していて武術太極拳選手として世界ジュニア武術選手権大会で金メダルを2度獲得してから女優に転身した“新世代アクション女優”として有名。

 最近では今年7月15日公開映画『キングダム2』にも出演していますが、『鎌倉殿』でも見事な刀さばきを見せています。ちなみに、プロボクサーのライセンスも持っているんですよね」(前同)

 善児は「唐突に表れて背後から急所を一突き」という暗殺スタイルであるのに対して、トウはアクロバティックな体術で剣を繰り出すスタイル。

《ヒエ…トウの剣術一撃必殺やん》《仕事してましたね。アクションが早くて凄い。》《トウ役の女優さん、吹き替えなしであのアクション出来るのか!これは舞台で観てみたいな。新感線とかさ》

 と、早くもSNSが大盛況である一方、以前から山本を知るコアなファンからは、ある特撮ヒーローを思い出す声も多かった。

■山本の転機となった作品を思い出す人も

「2017年に、濱田龍臣さん(21)主演の『ウルトラマンジード』(テレビ東京系)という作品が放送していて、山本さんは刀剣の扱いや武術に長けた“鳥羽ライハ”という役で出演していたんです。しなりを生かして敵を斬る中国刀で実にカッコよく、かつセクシーなアクションを披露していて人気を博していました。そして、この『ジード』こそが『鎌倉殿』の出演に繋がっている部分があるんです」(特撮ライター)

 17年当時、三谷幸喜は当時3歳だった息子の影響で『ウルトラマン』を視聴しており、当時最新作だった『ジード』も親子で楽しんでいた。

《毎朝一本、息子と『ジード』を観ながら、僕は仲間思いのリク(濱田)に完全に感情移入し、クライマックスではだいたい嗚咽。息子に手を握りしめて貰っている》

 とまで『朝日新聞』の連載コラム『三谷幸喜のありふれた生活』(893回)につづる熱中ぶりだった。

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