■黒田官兵衛・濱田岳に寄り添う信長とみやびに青春を見た

 信長は、黒田官兵衛の裏切者の炙り出しにも、単なる興味本位ではなく、深層的な理由があると感じていた。

 黒田は、幼少の頃に仲のいい友人のカンニングの濡れ衣を着せられ、将来を閉ざされたことで、簡単に人を信用することができなくなった。この難局にいつ誰が裏切るか分からないし、自分も裏切るかもしれないと言った黒田にみやび(山田杏奈/21)が言った「信じると決めたものは信じたいのです、黒田くんのことも」という言葉は、心にぐっさり刺さっただろう。

 自分を信じると言ってくれたこと、それはまさに黒田がほしかった言葉であり、悲しみと絶望で苦しかった過去のトラウマを解放させてくれるものだった。全員が敵だと思ったら自らが強くなるしかない。

 だけど、信じあえる仲間がいたら、一緒に強くなれる。家康が差し出した手は取らなかったが、信長が差し出した手を取った黒田に、信長が言う『和の心』を持つ意味が示されたと言えよう。誰がどのように天下を獲るのか見守りたい。
(青石 爽)

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