■ホテルにまつわるYAZAWA伝説

 ビッグになった矢沢には、嘘か誠か、こんな伝説も流布している。

 矢沢がツアー中に泊まるホテルをイベンターが手配した際、手違いでスイートではなくツインを取ってしまった。スタッフがそれを詫びたところ、矢沢はこう言ったんだとか。

「いいよ。部屋がないわけじゃないんだから気にしないでよ。僕は別にいいから。ただ……YAZAWAが、なんて言うかな?」

 有名な矢沢語録だが、後にテレビ番組で、この発言について問われると、矢沢は「(記憶にないが)どこかで自分をプロデュースするところがあるじゃないですか……」と照れ臭そうに話している。

■離婚の慰謝料はポルシェ3台分

 ともあれ、“有言実行の男”矢沢は、少年時代に誓った

「ビッグな大金持ち」に見事、成り上がったわけだ。ただ反面、私生活はトラブルに見舞われた。

「当時、矢沢さんは家族5人で山中湖のマイホームで暮らしていたが、連日のようにファンが自宅に押しかけたことで、前妻のSさんがノイローゼとなり、夫婦関係が冷え切った。結局、山中湖の自宅は取り壊しとなり、89年に離婚しています」(芸能記者)

 このときの記者会見も、伝説化している。

 報道陣に離婚の理由を聞かれた矢沢は、「愛がなくなった」と正直に語り、慰謝料を問われると、「ポルシェ3台分」と答えたのだ。

「ポルシェ3台分というと6000万円ほどです。これは、当時の芸能人の慰謝料としては破格の金額でした」(前同)

■35億円借金事件

 金銭がらみの豪快伝説も多い矢沢だが、中でもケタ違いなのが、「35億円借金事件」である。98年、オーストラリアの土地取引をめぐって、元スタッフによる35億円の巨額横領事件が発覚したのだ。芸能リポーターの川内天子氏が明かす。

「私たちも必死で取材しましたが、ご本人に接触できず、詳細は分からなかった。矢沢さんも沈黙を貫き、何も語りませんでしたから」

 しかし先だって、本人の口から当時の壮絶な状況が明かされた。

「7月19日放映の『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)で、矢沢本人が“あまりのショックで髪の毛は抜け、睡眠中も過呼吸になるほどだった”と明かしたんです。絶望から一時は酒浸りの日々を送ったが、矢沢は自力で全額返済することを決意し、04年に35億円を完済したそうです」(前出の芸能記者)

 完済の祝杯に日本酒をしこたま飲み、千鳥足で帰れなくなったそうだが、本人は「今でも忘れない。最高の酒」と述懐している。

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