■逸ノ城「連覇」の可能性
――なるほど。先場所は、逸ノ城(29=小結)が初優勝しましたが、「連覇」の可能性はありますか?
錣 ウ〜ン。正直、難しいかなぁ。全勝で走っていたとき、土をつけたのは(7日目の)正代でしたが、その後も琴ノ若、明正と負けた相撲が悪すぎます。特に、明正戦の立ち合いで見せた、張り差し。差し負けた後は、何もできないまま、相手に寄り切られてしまった。相撲にムラがあるので、これまでも安定した成績が残せないのだと思います。
■正代にしかできない「良さ」
――その「土」をつけた大関・正代(30)は、1勝4敗から見事に2ケタ勝利を挙げましたね。
錣 正代に関しては、「腰が高い」「立ち合いが突っ立ている」などという声もありますが(笑)、あれは本人しかできない「良さ」なんです。6日目以降は相手に体をぶつける相撲に変わりましたし、今からスタイルを変えるというよりも、彼の長所を伸ばしてほしい。私は、そう思っています。
秋場所の優勝力士ですか!? 現時点では予測できません(笑)。これ、本音です。
――先場所に続き、大混戦が予想される秋場所。勝利の女神は誰のもとにほほ笑むのか?
錣山瑛一(寺尾常史)1963年2月2日、鹿児島県生まれ。長兄は十両・鶴嶺山、次兄は元関脇・逆鉾で、“井筒三兄弟”と呼ばれた。1985年3月春場所で新入幕、89年春場所には逆鉾と兄弟同時関脇に。2002年9月秋場所で引退。04年1月に錣山部屋を創設し、小結・阿炎らを育成。
●取材・文/武田葉月(ノンフィクションライター)