■「ミー坊はのんにしかできない」の声

 女性誌編集者は話す。

「いつ何時でも、全力で“好き”を貫き続ける前向きなミー坊(さかなクン)の姿勢に魅力にハマる人が続出しています。私も見ましたが、劇中では釣った魚をのんさん演じるミー坊がクーラーボックスの上にのせてナイフでさばいたり、絵を描くシーンも吹き替えなしでのんさんがこなすなど、細かな役作りもしっかりとしていました。

 男女の差があるにもかかわらず、“ギョざいます”といった話し方もさかなクンそっくりですし、のんさんの元々の声が可愛いとあって、ピュアなミー坊の雰囲気にピッタリなんです。恐らく男性俳優がミー坊を演じたら違和感を抱いてしまうでしょうし、少しでもセクシーな要素がある女優でも、そのあたりがチラついて厳しかったのではないでしょうか。

 そういった意味でも、ミー坊役はさかなクン本人を除けば、のんさんにしかできないと思ってしまうほどのどハマり役です。学ランのまま海に飛び込むシーンなどもあり、まさに体当たりの演技を見せてくれたのんさんは、『さかなのこ』に出演したことで、女優としてもう一段階上に行ったとも言えそうです」

 映画『さかなのこ』は、全国週末興行成績で10位にランクイン。『ONE PIECE FILM RED』や『ブレット・トレイン』などの大型作品がひしめく中、上々のすべり出しをみせた。

■独立騒動で「本名はく奪&地上波ドラマ追放」

 今後も表現者として活躍を広げていくであろうのんだが、これまでの道のりは決して平坦ではなかった。

 2013年上期のNHK連続テレビ小説あまちゃん』でヒロインを務めて、一躍国民的女優となったのん。当時は本名の能年玲奈で活動していたが、2015年1月に所属事務所に無断で個人事務所を設立したことで、独立騒動が巻き起こった。

 2015年4月発売の『週刊文春』(文藝春秋)では、当時の所属事務所がのんにパワハラをしたとする記事を掲載。この記事が名誉棄損にあたると、所属事務所側が当時の編集長と発行元の文藝春秋に損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、東京地裁に提訴。

「裁判は2020年10月に終了していますが、独立騒動が明らかになった翌年の2016年には本名での活動ができなくなり『のん』に改名。『あまちゃん』の勢いそのまま、のんさんも国民的女優へと駆け上がるかと思いきや、騒動がネックとなって地上波ドラマにはなかなか出られない状況に陥ってしまった。

 しかし、舞台、映画、音楽、CMなどでは大活躍。そして今回の『さかなのこ』ですからね。今年は同作を含めて3本の映画で主演を務めているほど。のんさんの完全復活は近いのではないでしょうか」(芸能プロ関係者)

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