■永野芽郁が見せた神シーン

 佐奈は2人で見てきた展覧会から得た仕事のヒントを功に話すが、功に「また思いついている」とツッコまれ「ふふっ」と笑う。そして功と目を合わせた佐奈は笑顔を浮かべ、功と手をつなぐと、2人のバックショットへ。ここで佐奈は「ふふっ」と再び笑い、シーンはエンドを迎えた。

 このラストシーンは大きな反響を呼び、ネット上には「最初から手を繋いで歩くんじゃなくて途中から繋ぐとこがいいね 最後の佐奈の『ふふふ♡』が可愛い」「キスしなくても繋いだ手やハグ、身体全体で表現できるってすごいんじゃないかと思う 関係性の変化をみんなで話し合って作ったらしい」 など絶賛の声が殺到。確かの永野が見せた笑顔、ムーブ、セリフの口調、すべてが完璧。それを受ける杉野の動きや間合いも良かったのだが、それにまったく目がいかないほど、永野芽郁の演技が良かった。

 永野はここまで俳優としてのキャリアを順調に歩んできた。地上波ドラマに限っていえば、2018年に連続テレビ小説半分、青い。』(NHK)でヒロインを務め、全国的な知名度を獲得。19年の『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)でもヒロインとして、物語の重要なキーマンを演じる。そして21年の『ハコヅメ~たたかう!交番女子』(日本テレビ系)では、へたれで先輩の藤聖子(戸田恵梨香/34)にまとわりつく後輩の川合麻依を演じ、第48回放送文化基金賞の演技賞を受賞している。

 そして今作。どんな演技を見せてくれるのかと楽しみにしていたのだが、これがなかなか地味だったのだ。もともとお仕事要素が強めなうえ、役どころは経営者。ストーリーも波乱万丈な展開がほとんどないため、これまで永野が演じてきた天然で明るいキャラが出ることはなかったのだ。演者的には小鳥役の西島のほうが、よほど目立っていたほどだ。

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