■暢子・黒島結菜の暴走は止められなかった?

 朝ドラはヒロイン夫婦がぶつかりあい、助け合い、ともに成長していくパターンが多い。それに比べると、和彦は珍しいほどになにもしないのだ。今作のテーマに働く女性、仕事と家庭の両立というテーマがあるため、和彦が目立たないのも仕方ない部分はあるだろう。

 しかし、このなにもしない和彦が、結果的に『ちむどんどん』へのクレームを助長していたのだ。酷評の声のほとんどは、仕事にせよ恋にせよ、まわりを見ずに突っ走る暢子の度を越した奔放さに集中していた。本来の朝ドラなら妻の暴走を夫がたしなめたりするところなのだが、和彦はなにも言わず、無責任に応援するばかり。結果、暢子は成長することなく、最終盤まで多くの人の神経を逆なですることになってしまったのだ。

 もちろん和彦の行動や言動は物語設定によるもの。宮沢自身は動かないながらも、暢子を優しく見つめる和彦をよく演じていたと思う。演者にはなんの責任もないことは、はっきり書いておきたい。

 いよいよ迎える最終回。賢秀(竜星涼/29)が沖縄にやってくることから、最後のドタバタが予想される。和彦は解決に向け動くのか、それともなにもしないのか、注目したい。(板橋六郎)

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