■自然の中で入浴を楽しめる
続いて関東地方。前出の早坂氏は、自然の中での入浴を楽しめる、栃木県那須塩原市の塩原温泉を挙げる。
「秋の紅葉を見ながら入る温泉は風情がありますが、実は木々の香りに含まれる“フィトンチッド”という成分にも、免疫を高める効果があるといわれています。また、塩原温泉郷には複数の泉質が集まっているので、自分好みの泉質を選ぶこともできます」
温泉選びの際は、この泉質にも注目したい。
「泉質別では、風呂上りが後でも温まり効果が継続し、長期的な免疫力アップが期待できる塩化物泉、効能が幅広く、万病に良いとされる放射能泉、活力増強にピッタリな炭酸泉などが挙げられます」(前出の金井氏)
泉質は、自分の体調に合わせて選びたい。
「とても簡単に言うと、疲れ気味の人は、色や匂いが薄いマイルドな温泉を選びましょう。たとえば、塩化物泉、炭酸泉などです。逆に硫黄泉、鉄泉などは、温め効果が強い分、体への負荷も大きいため、疲れ気味の人は体調を崩しかねません。刺激の強い温泉には体調が万全なときにだけ挑戦しましょう」(早坂氏)
■東京下町の湯治場
一方、仕事で遠出は難しいという東京の人には、大田区にある蒲田温泉が強い味方になるという。ここは“下町の湯治場”ともいわれる都会の名湯だ。
「大田区周辺には“黒湯”という温泉に入れる銭湯がたくさんあり、その代表格が蒲田温泉。植物由来のマイルドな泉質なので、じんわりと疲れを癒やしてくれます」(前同)
■“杖をついてきた人が杖を捨てて帰る”湯治場
山が多い北陸・甲信越にも元気になる名湯は多い。成田氏は、“ランプの宿”で有名な新潟県魚沼市の駒の湯温泉を推す。
「昔から“杖をついてきた人が杖を捨てて帰る”といわれる湯治場。一番の特徴は人肌程度のぬるま湯で、1時間は入浴できるんだ。温泉の成分が、しっかりと体の中にまで浸透していく感じがするよ」
東海地方には、飲める炭酸泉で有名な湯治場、岐阜県下呂市の湯屋温泉がある。
「炭酸の含有量が豊富で、飲めば胃腸に効くとされます。この湯で炊いたおかゆを冬に食べれば、1年間、無病息災だと言われるほどです」(温泉ライター)