■地上波ドラマとして挑戦的な作品が多い

 さらに、秋ドラマはテーマ、ジャンル、職業はバラバラの設定だが、ある共通点があるようだ。

「どのドラマにも共通する傾向としては、“新しい挑戦をしている”ことですね。『PICU』でしたら、医療ドラマであれば最後は助かることが多い展開が王道ですが、第1話でいきなり子どもが2人も亡くなって主人公が打ちひしがれてしまったり、北海道で運用されている医療ジェット機について描かれ、本田翼さん(30)が主演の『君の花になる』(TBS系)では、韓国アイドルを意識したようなボーイズグループの育成の裏側を見せるなど、“今”の時代をドラマに取り込んでいます。

 Hey!Say!JUMP山田涼介さん(29)主演の『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系)は、半グレグループや管理売春、猟奇殺人などの題材、暴力的な描写は地上波の放送コードギリギリに挑戦しているように思います。

 川口春奈さん(27)主演、Snow Man目黒蓮さん(25)が出演している『silent』(フジテレビ系)では、中途失聴と”若年発症型両側性感音難聴”という難病を真摯に描いている。そして、長澤さん主演の『エルピス』は、冤罪問題や政治問題に果敢に切り込んでいますし、チャレンジングな作品が多い印象です」

 2022年秋ドラマの脚本担当を見ていくと、『PICU』は倉光泰子氏、『エルピス』は渡辺あや氏、『君の花になる』は吉田恵里香氏、『ファーストペンギン!』は森下佳子氏、『silent』は生方美久氏。『ザ・トラベルナース』は中園ミホ氏、『クロサギ』は篠﨑絵里子氏、『アトムの童』は神崎万里江氏、NHK『つまらない住宅地のすべての家』は池田奈津子氏と、そうそうたる脚本家が名を連ねている。

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