日テレ『クロサギ』キンプリ・平野紫耀の優しく甘い声がハマる「明と暗の二面性」黒崎の感情・生き方「体の奥まで溶け込んだ凄み」の画像
※画像はTBS『クロサギ』公式サイトより

 King & Prince平野紫耀(25)主演の『クロサギ』(TBS系)の初回放送から、まだ余韻がおさまらない。詐欺によって家族を失った主人公が、詐欺師への復讐を決意し、「詐欺師を騙す詐欺師=クロサギ」になって詐欺師たちに立ち向かっていくヒューマンドラマだ。第1話は20分拡大でも視聴者を離すことなく、世帯平均視聴率9.2%、個人視聴率5.3%、コア視聴率4.2%をマーク。ツイッターのトレンド世界一を獲得するなど、好スタートを切った。

■役に溶け込む平野紫耀に酔いしれる

 黒崎を演じる平野は、優しくて甘いハスキーな声を持っている。それは芝居をする上でも魅力的で、幅の広い芝居を感じさせた。黒崎の二面性ともいうべき明と暗の感情表現に、その“声”がとても効いている。

 相手が詐欺師だったり、詐欺の手口を説明しているときは、軽快なテンポで淡々と話すのが特徴だ。明るく高めの声で、表情は柔らかく、相手を軽蔑しているような笑みをする。

 しかし、自分の父親を詐欺で追い込んだ御木本(坂東彌十郎/66)の話になると、憎しみの気持ちが一気に高まって殺気立つ。低く唸るような声で表情はかたく、鋭い目には涙がにじんでいるように見える。

 憎しみの感情が爆発したのは、詐欺師を追い詰めて「御木本について教えろ」と迫ったときだ。胸ぐらをつかんで「教えろよ!」と怒鳴ったときは、こちらまで震えるような気持ちになった。ふだんの平野は大声が苦手で、誰かを怒鳴りつけるなどしない人柄なのだから、ギャップも半端ない。

 相手によって声が変わる、それは当たり前のようだが、意識をすると難しい。黒崎は、明るく話しているのに楽しそうじゃないし、憎しみに満ちているのに悲しみを感じる。それは、黒崎の痛みを自分の痛みとして感じている平野が、アンバランスな黒崎の感情として生み出している。黒崎の感情、生き方を受け入れ、自分の体に溶け込ませていることが、その声からも伝わってくるのだ。

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