■湊斗と光の「電話越しの会話」で見せる不穏な空気

 群馬に帰省した光はヒマつぶしに湊斗に電話をしたのだが、ここで想とフットサルをすること、“通訳係”の名目で紬も誘ったことを湊斗が説明すると、「あー……ね」と明らかにいら立ちの混じった声色で返したうえ、手元の茶菓子を無意識に強く握る。

 そして、「光も手話覚えれば?」の一言に最初は苦笑していたものの、

「……何でそんなこと言うの?」「何で手話覚えろとか言うの?」

 と、震えた声で湊斗に問いかけるも、湊斗は何も言わずに電話を切ってしまった。

「第4話視聴後の今考えれば、この時点で湊斗は紬と別れる覚悟を決めていたわけで、そのため紬の弟である光も手話を覚えた方がいいよ、ということを言っていたのでしょう。しかし、それを湊斗に懐いている光が受け入れられるはずもない。

 さらに、《てか、光くんは湊斗のことが好き?ただお兄ちゃんになって欲しかっただけ?それだけには見えないんよね...》などとSNSでは意見が上がっており、実は三角関係どころか、四角関係なのでは、と考える視聴者もいます。つまり今後、BL的展開もあるのではということですが、たしかに、板垣さんが見せた迫真の演技には、姉の恋人を応援する弟、というだけではない感情が込められていた感じがしましたね……」

 そして、相変わらず意味深なのが風間俊介(39)演じる、紬の通う手話教室の講師の春尾。1話から現在に至るまでろう者と聴者の間にはどうしても超えられない壁がある、というニュアンスの話をしていたが、今回はさらに踏み込んだことを同じ手話教室でろう者の講師に《壁を作っているよね》と指摘されると春夫は、手話で語った。

《手話ができるってだけで、分かった気になりたくないんです》《どうしても僕は聞こえるので、ろう者同士みたいに分かり合えないです》

 あらためてそう話す春尾の顔は、相手を気遣ってはいるものの非常にドライな冷めた目をしていた。

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