■韓国市場を脱出する背景とは?“稼げない”厳しいKーPOPの現実

 KーPOPがここまで世界的に広まった背景には、厳しい韓国国内での売り上げ問題があるという。

「韓国には『韓国コンテンツ振興院(通称KOCCA)』という、国産コンテンツの援助を行う政府機関が存在し、海外公演や音楽制作・VR制作といったコンテンツ作成時に発生する費用を、最大でコンテンツあたり約2700万円の支援を受けることが可能となっており、国を挙げて国産コンテンツを支援する体制が確立されています。

 そのため、韓国の音楽事務所などは最新のクリエイティブなコンテンツを制作することができ、KーPOPの発展にも大きく貢献しています」(前同)

 しかし、2021年の韓国の人口は5174万人と、日本の1億25700万人の半分以下。そして、韓国国内の音楽市場の規模も、約1000億円と日本の三分の一程度となっている。

「音楽の市場規模も小さい韓国ですが、音楽番組での出演料も少なすぎることが、最近話題になっています。韓国の芸能記者出身のYouTuberイ・ジンホ氏が、11月10日に自身のYouTubesチャンネルに投稿した動画内で、タレントのテレビ出演のギャラについて暴露。

 その内容は“超大型ウルトラ級人気スターが50万ウォン(約5万円)と考えればいい。一般的なアイドルはたったの10万ウォン(約1万円)だった”と明かしており、これは地上波の全てのテレビ番組に当てはまると告白。さらにこれはメンバー1人あたりではなく、グループ全体に支払われるギャラで、少ないと約5000円程度の日当になる、という衝撃の発言もありました」(前同)

 さらに韓国では“カムバック”と呼ばれる、新曲リリース時に音楽番組などに出演する活動期間が存在し、音楽番組の多い韓国では週6本ほどの番組収録に参加することもある。

「アイドル側はカムバック期間中には、毎回違う衣装を着て収録に臨むため、人気アイドルでは1日100万円ほどの衣装代がかかり、多いと週で約600万円ほどになります。

 そのため、ほぼ無償で出演する韓国国内だけでは収益が見込めず、日本や中国といった他の音楽市場で売り上げを立てていくグローバル進出が必須となってくるんです」(前同)

 そんな厳しい状況にも打ち勝つほどのエネルギーを持ったKーPOPアーティストの熱量に、世界中が魅了されている。

「今回出演するTWICEは、今年日本デビュー5周年ということもあり、日本オリジナル楽曲も豊富です。ですが、10月にデビューしたIVEは日本語の持ち歌はデビュー曲の『ELEVEN -Japanese ver.-』のみで、LE SSERAFIMに至っては、日本デビューはまだしていないため、日本語の持ち歌はゼロ。そのため“紅白に韓国語の曲で出場するのか?!”と、一部の層からは批判が出ているそうです」(前同)

 その批判を跳ねのけるほどのステージを見せてくれるのか。今年の大晦日は、例年以上に期待が高まるーー。

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