■好きになっていい人とダメな人の定義とは

 渉のアサヒへの告白は、とても自然で気持ちのこもったすてきなものだった。アサヒはその場で返事をしなかったが、自分を好きだという気持ちをしっかりと受け取っているのが伝わってきた。何者かも分からない自分を受け入れて、いつもおいしいごはんを作ってほほ笑んでくれる渉のことを、大切に思っているのだろう、柔らかな表情で渉を見ていた。

 12歳という年齢差や、前彼とのことを気にするようなことは一切なく、一人の女性として考えてくれるアサヒは誠実な人だ。どんな答えになろうとも、きっと優しさと思いやりに溢れた返答をするだろう。

 ところで、かしこが自分の年齢や生きている世界が違うことを気にする気持ちに理解をしつつも、「好きになってはいけない人はいないと思う」という渉の思いに共感する方も多かったのではないか。

 アサヒを演じる高橋を応援するファンは幅広く存在する。高橋の笑顔に癒され、ダンスに酔いしれ、芝居に翻弄されてしまうことに、性別や年齢など関係ないだろう。この人を応援したい、見守っていきたいと思う気持ちは自由だ。

 そして、自分を好きでいてくれる人を大切に思うのは高橋も同じだ。雑誌のインタビューでは、たびたびファンを大切に思う気持ちを語っており、自分の心の支えになっていると公言する。まさに相思相愛、いつでもエアハグをしているように想いは繋がっているのだ。それをドラマを通して伝えてくれているように感じられる最高に幸せな時間を、今は噛みしめたい。(文・青石 爽)

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