■白石和彌監督も仰天した半年かけた「方言の徹底修行」!

『エルピス』のキャストで、鈴木を憧れの俳優としている眞栄田郷敦(22)は同ドラマの制作発表会見で、こう話していた。

「(撮影)序盤のころ、スタッフさんに『僕、最終回のシーンがいつ来ても大丈夫なんで。全部(セリフ)入っていますから』って言っていて、すごく印象的です」

 撮影の序盤で鈴木は、すでに最終回までのセリフを暗記していたのだという。

 これに近いストイックすぎるエピソードとして、2021年8月公開の映画『孤狼の血 LEVEL2』の撮影に関する話がある。同作で鈴木は「本職」にしか見えない凶暴なヤクザを演じていたが、撮影の時期に新型コロナウイルスが流行。緊急事態宣言で鈴木は半年間が仕事がなくなってしまった結果、恐ろしいまでに役を作り込んでいた。

『孤狼の血』のメガホンをとった白石和彌監督は2021年8月21日に『文春オンライン』で公開されたインタビューでこう話している。

《緊急事態宣言中に広島弁はほぼマスターしていました。台本はもちろん、独自で日常会話でも広島弁の練習をしていたんですよ。普通は、僕らの制作部とか演出部が用意した方言指導の先生のテープを、「はい、じゃあ練習して来てください」と役者に渡すのはだいたいクランクインの1か月前。それを半年前に勝手にやって完成しているという》

 それだけの熱量が評価されないはずもなく、鈴木は『孤狼の血 LEVEL2』で第45回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞ほか、数多くの賞で助演男優賞を獲得した。

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