■「“限界は超えないためにある!”が令和っぽいと思いました」

――コロナ禍を経て、変革を迎えている感じですね。

「作風で変わった点でいうと、『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)のときに、主人公の充瑠(演:小宮璃央)が言った言葉ですね。いままでヒーローは“限界は超えるためにある!”みたいな感じでしたけど、初めて『キラメイジャー』でレッドが“限界は超えないためにある!”っていうセリフを言ったのが、まさに令和っぽいなと思いました」

――そんなセリフがあるんですか!

「あるんです。そもそも『キラメイジャー』は、“自分がキラキラしてないと、人も助けられない”という話で、メンバーは俳優やお医者さんとか、いろいろな職業についているんです。

 で、敵が現れても“俳優の仕事が忙しいから……”“分かった。今日は俺たちだけで戦うから、そっち行っていいよ”って、仕事を優先させたりするんです。要は、心がキラキラしてないと戦えないから、ですね。ピンチのときに、限界超えて自分達が犠牲になるのはダメなんだと。だから“限界っていうのは、超えちゃダメ”なんです」

――働き方改革みたいですね。

「そうですよね。ここは俺らでやっとくから、みたいな。そこは令和っぽいなと思いましたね」

――2022年は、映画『シン・ウルトラマン』やAmazon Prime Videoで配信された『仮面ライダーBLACK SUN』(※)など超話題作がありましたが、そうした作品とは違う、“1年もの作品”の魅力はなんでしょうか?

(※『仮面ライダーBLACK SUN』:1988年に放送していた『仮面ライダーBLACK』をリブート。完全に大人向けの作品となっており、非常に重厚な社会はドラマとしても見ごたえがある作品)

特撮の楽しさを伝える篠宮さん

「面白いところは、やっぱり“共有できること”じゃないでしょうか。最新回を見てツイッターでみんな感想を言ったりとか、作中にすごいキラーワードが出てきて、それがトレンド入りしたりとか。世の中の反応も含めて楽しんでいくのが、たぶん一番の魅力というか、楽しみ方じゃないかなと思います。

 サブスクで一気見するのも当然面白いですけど、特撮作品ってその時の世の中の空気感みたいなのも入ってたりするので……“あ、そういえばこの時こんなだったよな”っていうのが作品の空気感で思い出すことが多いんですよ。個人的な思い出だったりするし、時事ネタだったりもするので……最新の話をなるべく観るのが、面白いところなのかなと思います」

――今もリアルタイムで観てますか?

「もちろん。それって今しかできないことなので。後から見返すっていうのは年を取ってもできるわけじゃないですか。それこそ現代はサブスクも充実してるから、初代『仮面ライダー』も普通に見ることもできますけど、“当時の初代『仮面ライダー』をリアルタイムで観る経験”は絶対にできないわけじゃないですか。だからリアルタイムで観る経験は、何事にも代えがたいのかなと思います」

――普通の連ドラにも通じますけど、それが年間楽しめるわけですね。

「そうですね。年間どころか、ずーっと楽しめるわけですから、特撮は最高です」

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篠宮暁(しのみや・あきら)

1983年2月8日生まれ。京都府出身。松竹芸能所属。屈指の“特撮大好き芸人”として『仮面ライダー』など特撮作品にかける情熱は凄まじく、毎週リアルタイムで感想をツイートしているほか、特撮コラムの執筆なども精力的に行なっている。また、日本漢字能力検定(漢検)準1級に合格しており、子供向け漢字ドリルも出版、多方面で活躍している。

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