■お笑い界も大物の訃報が

 2022年は、お笑い界でも大物の訃報が相次いだ。

 5月11日に急逝した、ダチョウ倶楽部上島竜兵さん(享年61)の死は、まさに“聞いてないよ!”。

「俺が死んだら熱湯をかけてくれよ」

 事務所の後輩で、上島さんと親しかった有吉弘行は、ツイッターに故人のそんな言葉を挙げ、追悼した。

「“笑われても笑わせても、笑いは笑い”と言い、芸人魂は人一倍強かった。ただ、コロナ禍で大好きだった飲み歩きもままならず、師匠と慕った志村けんさんの死も相当、こたえていた。繊細で優しい方だったので、一人で悩みを抱えてしまったのかも」(お笑い関係者)

■笑点の人気落語家も

 脳梗塞を発症し、8月に7か月ぶりとなる高座への復帰を果たした三遊亭円楽さん(享年72)は、尽きぬ落語への思いを語っている。

「車イス姿で現れ、“みっともなくてもいいから、死ぬまでやります”と語る顔からは、落語と“心中”する決意が見えた。そこから“ICUから3度目の帰還です。みんな歌丸が悪いんだ”と続けたのは、毒舌円楽の面目躍如でした(笑)」(スポーツ紙記者)

 だが、再び入院を余儀なくされ、9月30日、帰らぬ人に。落語にこだわり、再び高座に上がる情熱は、最期まで衰えなかったという。

■仲本工事は交通事故で

 一方、「人生って無理せず、自然でいいんですよ」と語るなど、自然体を信条としたのが、ザ・ドリフータズの仲本工事さん(享年81)。その仲本さんが交通事故により、突然、亡くなったのは10月19日のことだ。

 西口プロレス所属のお笑い芸人、アントニオ小猪木氏は、仲本さんから「アントニオ君」と呼ばれ、ホームパーティに何度も招かれるほど、親しい間柄だった。小猪木氏は、仲本さんの飾らない素顔をこう語る。

「共演時にご挨拶する程度の関係だったのが、9年ほど前、アントニオ猪木さんの古希を祝うパーティで、“連絡先を教えてよ”と言われ、以後、かわいがっていただきました。仲本さんと奥さんの純歌さんが経営する飲食店で、毎年、開かれるクリスマスと誕生日会では、いつも司会をやらせてもらっていました」

 仲本さんの仲間が集まった、この種のパーティでは、最後に『8時だョ! 全員集合』のエンディングテーマ『いい湯だな』を皆で歌うのが恒例だったという。

「“ババンババンバンバン♪”と楽しく歌いながら、いかりやさんのパートは仲本さんが“いかりやさんを思い出すからイヤなんだよ”と言って歌わず、いかりやさんのエピソードで皆を笑わせていた。仲本さんなりの照れ隠しでしょう。すごく穏やかな方で、いつもお店の奥でニコニコしながら、タバコを吸っていましたね」(前同)

 小猪木氏は、一世を風靡したドリフのメンバーだった仲本さんの、意外な言葉が記憶に残っているという。

「営業で一緒になったとき、若手の何人かが“師匠、ご挨拶させてください”と伺ったら、“ごめん、僕、『師匠』じゃないから”とおっしゃって“師匠”と呼ばせなかったんです。音楽を愛した仲本さんの中には、“自分はミュージシャン”という自負があったのだと思います」(同)

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