■アントニオ猪木「俺の動きにはリズムがない」
その安倍さんを「惜しい人を亡くした」と悼んだのが、北朝鮮問題などをめぐり、つきあいが深かったアントニオ猪木さん(享年79)だ。猪木さんもまた、10月1日、難病の全身性アミロイドーシスにより、惜しまれながら天に召された。
没後の今も含め、本誌で長らく連載を持つ“闘魂”は、幾多の名言を遺した。
3月、アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスが妻を侮辱されたとして、檀上でコメディアンに張り手を放つ事件が発生。この件を受け、猪木さんは「ビンタといえば、アントニオ猪木。なのに、なぜ俺に話を聞きに来ない(笑)」
「妻への愛情があるわけで、俺はいいビンタだと思います」と、本誌に独自の“ビンタ論”を語ってくれた。
●アントニオ小猪木が語る「表現の天才」
芸名通り、熱烈な猪木信者でもある前出の小猪木氏は、営業などで何度も猪木さんと仕事をし、その存在感に圧倒されたという。
「猪木さんはサプライズ好きですからね。“アントニオ猪木来たる!”と銘打たれたイベントで先に僕が出て、客席から不満の声が上がる中でモノマネをした後、本物の猪木さんが“元気ですか!”と登場、が鉄板。これをやると客席は興奮でドカーン! で、猪木さんもご満悦でした。あの誰にもマネできない存在感に毎回、感動していました」
小猪木氏は、猪木さんの動きをマネると、不思議とキレが良くなり、舞台で観客の目を惹きつけられることに気づいたという。
「一度、勇気を出して猪木さんご本人に聞いたら、“俺の動きは1、2のあとの3、4がなくて5、6に飛ぶ。リズムがないんだ”と。確かに猪木さんの試合を見ると、手四つにいくと見せかけて張り手を飛ばしたりして、ピタッと動きが止まる。そこで観客はくぎづけになる。猪木さんは、やっぱり“表現の天才”です」
夜空に輝く無数の星。2022年、そこに加わったスターたちの笑顔に思いを馳せ、新たな年へ迷わずに一足を踏み出して行きたい。