■『Mリーグ」実況・日吉辰哉さんへの思い

実況の日吉さんのことを語る萩原さん

――『Mリーグ』はエンターテインメント。プロ野球とかJリーグ、そして映画などと勝負するものですかね。

「そうですね。したい。でも、野球を超えることはないでしょう。Jリーグも大相撲も、プロレスも超えることはないけど、“野球好きな人が次に好きなのが『Mリーグ』”までは行けるんじゃないかな。サッカー好きな人が“次は野球じゃなくて『Mリーグ』。その下に野球”みたいな。そういうところは目指せるんじゃないかと思います。目指したいですね」

――エンターテインメントでいうと、面白い実況でファンも多い日吉辰哉さんのことはどう思っていらっしゃいますか?

「ある意味、天才ですね。ただ、プロの実況者としては足りない部分があるのかなと」

――どういうところでしょうか?

「これは、直接彼にずっと言っていることですけど、まず“訛り”ですね。やはり、実況解説なら訛りは地上波では絶対にありえないので……。彼の場合は静岡訛り。直そうとはしてますけどね。あと、自分が入り過ぎちゃう、視聴者置いてけぼりのときがありますよね」

――たまにありますよね。個人的にはそれが面白いですが。

「ただ、それを許すと、なんでもありになっちゃうんですよ。“そこが日吉さんの良さですよね”みたいなことを言ってしまうと、なんでもありになっちゃう。オリジナルな実況は良いですけど、全体のステージアップをしたうえでやれるでしょう、というのを僕は日吉さんに求めていて。

『ABEMA』だから許される、という言い方は変ですけど、将来、本当に麻雀がオリンピックで競技化されて、放送するNHKから実況の依頼をされたら、日吉さんの訛りは許されない。彼は選ばれなくて、NHKのアナウンサーが実況をすることになります」

――アナウンサーとしての基礎がしっかりできている人がやると。

「彼にはそういったステージでもやってもらいたいから、しっかり意識してもらえるように話しています。クセはなかなかね……。

 でも、日吉さんは向上心もありますし、ああいう臨場感を出して自分の中で言葉を作って、“日吉ボキャブラリー”みたいなので試合を盛り上げられるのは本当に素晴らしいです。まあ時々、“言えばいい”みたいになっちゃうので、そこはちょっとなぁと思うところはありますが、素晴らしいと思います。僕は大好きですね」

【#4へ 「ひとつ区切りがついたと思ったら、勝っても辞めると思います」『Mリーグ』を去るとき――そして追求する「カッコ良さ」とは?】

はぎわら・まさと 1987年、俳優デビュー。テレビドラマ『はいすくーる落書2』(90)で注目を集め、映画『学校』、『月はどっちに出ている』(ともに93)などで日本アカデミー賞新人俳優賞、『マークスの山』(95)、『CURE』(97)で、2度の日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。その後も、数多くの映画、ドラマ、舞台でも活躍。近年は映画『島守の塔』、『今夜、世界からこの恋が消えても』、『餓鬼が笑う』(ともに22)など話題作に出演。18年から「TEAM RAIDEN/雷電」に所属しプロ雀士としても活動している。

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