■パ・リーグ伝説のピッチャー

 続いて、パ・リーグのベストナインを発表しよう。

 セ・リーグ打線に立ちはだかるのは、「1シーズン42勝」「日本シリーズ4連投」など、数々の伝説を誇る稲尾和久(西鉄)だ。

「登板756試合で通算防御率1点台は、もはや天文学的数字。制球力が抜群で、スライダーは消えるともいわれていた」(前同)

 中継ぎには、現日本記録保持者で、前人未到400ホールドに、あと20と迫る現役の宮西尚生(日本ハム)。

「地味ながら左サイドから投げるキレのあるストレートは見ていて気持ちいい」(47・会社員)と、特に玄人ファンから支持を集めた。

 そして、抑えは「一度、守護神で見てみたい」(45・運送業)との声に応え、大谷翔平(日本ハム)をDHとの二刀流で抜擢した。

「22年の大谷の奪三振率は驚異の11.87。これはア・リーグでトップの成績ですから、抑えでも確実に通用するでしょう。1イニングだけなら、170キロ近く出るのでは。ONと対戦すれば、名勝負が生まれること必至です」(スポーツジャーナリスト)

■弱肩を送球でカバーする野村克也

 そんな投手陣をリードするのは、野村克也(南海)しかいないだろう。

「野村さんは捕手としては弱肩だったけど、あれで、実は福本(豊)の盗塁を何度も刺している。スライディングが、ちょうど来るベースの縁に目がけて、寸分違わぬ送球ができる。そのへんは、さすがだよね」(江本氏)

■清原和博や落合博満、超強力布陣

 バックを守る内野陣には、“番長”になる前の清原和博(西武)、落合博満(ロッテ)、“野武士”中西太(西鉄)、“トリプルスリー”松井稼頭央(西武)と、こちらもセ・リーグに勝るとも劣らない強力な顔ぶれだ。

 遊撃手がライナーと思ってジャンプした打球が、そのままスタンドに突き刺さった……という中西の豪打エピソードは今も語り草。

 中西を指導者としての師と仰ぐ伊勢孝夫氏は、振り返る。

「敵同士だった近鉄時代は、試合前の中西さんらの偵察もよくしていたけど、他とは迫力が違った。一番は手首の強さ。ケガさえなければ、もっと記録を作っていたやろうね」

 そんな中西が4度も王手をかけながら逃し続けた三冠王に、三度も輝いた落合博満は、デビュー当時の二塁手部門で選出。

 同じ二塁手では、メジャーでも活躍した井口資仁(ダイエー)や、いぶし銀の大石大二郎(近鉄)、辻発彦(西武)らも票を集めたが、守備には目をつぶって落合を選出。

「落合が出てきたとき、逆方向にいともたやすく本塁打を打つ、あの打撃には“とんでもないやつが現れた”と衝撃を受けたよ。当時のロッテは、ひときわ狭い川崎球場とはいえ、軽く当てただけのような打球でもフェンスを越えちゃうんだから参ったね」(伊原氏)

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