■相手のパンチがスローに見える
「殿はボクシングをやっていたので、実際に喧嘩が強かったんです。相手のパンチがスローに見えると言っていましたからね。で、暴れると手がつけられないから、軍団のメンバーで殿を止めないといけません。
後ろから押さえつつ、相手をケガさせないように、殿を正面からも羽交い絞めにする。だから、ボコボコに殴られるんです。毎回、誰かが血だらけでした(笑)」
ちなみに、正面に立って殴られる役は“順番”に回ってきたという。
「相手が誰であろうと、不条理なことをされたら怒る。そして怒ると、臆することがない。“ここで暴れるとマズいかな?”と躊躇する場面でも、許せないものは許さないんです」(同)
芸能レポーターの城下尊之氏も、こう言う。
「ツービートのデビューは、日本テレビの『笑点』の前座でした。そこで、かの有名な“赤信号みんなで渡れば怖くない”などのギャグを連発して大ウケ。そこから大ブレイクしたんです」
たけしを世に輩出したのが『笑点』だったのだ。
「数年後、『笑点』が再び、出演オファーを出したんですが、すでに人気者とあって、当時のマネージャーが“そんな安いギャラじゃ無理”と断ったそうです。後日、その話を聞いたたけしは激怒し、マネージャーに回し蹴り。“笑点は出世の恩人だぞ”と言って、出演に至ったそうです」(前同)
権力には屈さず、世間の風も、どこ吹く風。だけど、恩義は絶対に忘れない。
これこそが“たけしイズム”と言えるだろう。
最後に、枝豆がとっておきのエピソードを語ってくれた。
「殿が仕事で九州に行ったときのこと。東京に帰ろうと空港に着いたとたん、黒塗りのベンツに囲まれて、“たけしさんだね?”と声をかけられた。そのまま車に押し込まれ、拉致されてしまったんです」
連れて行かれた先で待ち構えていたのは、組織の親分だった。
「その親分は“娘がファンだから、どうしても会わせたかった”と。そんな理由で拉致されるなんて、たまったもんじゃない。“こんなやり方、良くないんじゃないですか?”と殿は怒るんですが……」(前同)
ここで親分が「実は娘が白血病で……」と打ち明けてきたという。
これには、たけしも「そういうことなら、最初から言ってくれれば、会いに行くのに」と、いよいよ娘と感動の対面となるのだが。
「現れたのは、金髪ギャルのおネエちゃんで、“たけちゃ〜ん! 会いたかった〜”って、もう元気、元気(笑)。“コイツ絶対、白血病じゃねえな”と殿もホッとしつつ、呆れていましたね」(枝豆)
結局、その日は都内に戻れず、1泊することに。
「料亭みたいな宿泊施設で、20人くらいの宴会になったんです。驚くことに、翌朝、殿はそこの代金を全員分、払って帰ったんです。
無理矢理、さらわれたんだから、“こっちが出す必要ないじゃないですか!”と言うと、“義理は作っちゃいけないんだ”と、殿から言われましたね」(前同)
なんともシビれるビートたけし伝説。今後も殿には大暴れしてほしいものだ!