■プロ入り後“二刀流”に批判の声も

 その“二刀流”への批判の声は、プロ入り後も少なくなかった。多くのプロ野球OBが“投手専念”を勧めるコメントをしていたものだが、

「それでも目標を見失うことなく、“両方やっていない人よりは、やっている立場で分かることはたくさんある”とか“ピッチングをやってバッティングもしていれば、楽しい瞬間は、もっといっぱいあるんです”と、常に前向きでしたね」(同)

■野球人生最大の危機!右肘負傷し手術

 18年、メジャー挑戦1年目から“二刀流”で活躍したが、9月に右肘靱帯の損傷が判明し、オフに手術。

「野球人生最大の逆境が訪れましたが、“僕自身が楽しくフィールドでプレーしたい気持ちが一番です”と、トミー・ジョン手術を受け入れました」(スポーツライター)

 その後のリハビリ中も、投球練習は制限されたが、「“限られた時間の中、何を捨てて何をするかという話なんです。今は、できないことを捨てているだけですから”と、自分に言い聞かせるような言葉を残しています」(前同)

■日本人初のメジャーリーグMVPを獲得

 19年は投手として活躍できず、20年も新型コロナの影響で登板は2試合のみ。

 だが、「悔しいなっていう思いが今年のモチベーションかなと思います」(志村朋哉著『ルポ 大谷翔平』朝日新書)と言ってシーズンに臨んだ21年に爆発した。

 投手として9勝2敗、打者として46本塁打、100打点、打率・257と、二刀流はフル稼働し、見事に日本人初のメジャーMVPを獲得した。

 それでも、チームはポストシーズン進出を逃した。よほど悔しかったのか、大谷は「もっとヒリヒリする9月を過ごしたい」いう言葉を残している。

■常勝軍団、ドジャーズ

「ドジャースは、この10年、地区優勝9回を誇る常勝軍団ですが、ワールドシリーズ制覇は1回のみ。そんなチームを自分の力で世界一にすることに、今は大いにやりがいを感じているはずです」(福島氏)

 さて、世界一になった大谷の口から、どんな名言が飛び出すか。

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