■石丸市長のクリーンすぎるイメージに怯える女性たち

 現状に変化を求めてない性産業の女性たちにとって、もっとも杞憂すべき存在は、外部からやってくる改革者といえる。それが「街の浄化」や「公序良俗の徹底」などを推進しそうな人物なら尚更のことだ。

 そんな折も折に東京都知事選に出馬を表明したのが広島県・安芸高田市長の石丸伸二氏だ。

 エリートでクリーンなイメージを持ち、今回の都知事選でも政治再建、都市開発、産業創出を標榜する石丸氏が、もし性産業が集まる中心地・東京で「不適切なトポス(場所)は排除する」などと言い出したら、それこそたまったものではない。そうなれば、彼女たちは完全に「職」を失うことになる。

 その反面、小池氏の3期目の都知事選出馬表明は彼女たちにとって、ある意味で福音をもたらすことになる。少なくともあと1期分(4年)は、現在の環境が変わらない可能性が高いからだ。くわえて自分たちと同性の女性が都のトップであることも、気持ち的には心強い。

 ちなみに現在、小池都知事とっては、かなりのマイナス要素になっている「学歴詐称疑惑」も、仕事の関係上、名前も年齢もハナから変えている性産業の女性たちからしてみれば、たいした問題ではないらしい。

 最大のポイントは性産業で働く都内の女性は確実に18歳以上で、すべての者が選挙権を持つということだ。人数的にもかなり多いうえに、これまで選挙に行っていなかった層が投票所に向かうわけだから、票数は単純にプラスになる。このことは小池都知事にとっては選挙戦でかなりの追い風になりそうだ。

 しかし、あろうことかこのタイミングで性産業の女性たちが最も嫌う要素が小池氏の背景に顔を覗かせ始めている。

 それが、自民党との連携であり、現在同党の東京支部連合会会長を務める萩生田光一衆議院との蜜月である。

自民党・萩生田光一前政調会長

 萩生田議員といえば、真っ先に上がるのが裏金問題。

 実は過去から現在に至るまでに悪質店やダメ男からお金を搾取されてきた経験を持つ性産業の女性たちは、税金からちゃっかり搾取されているように見える自民党の裏金問題に、心から腹を立てている。

 そこにあたかもメディアの手薄になっている連休中を狙ったかのような「萩生田議員の不起訴報道」が続き、さらにいまだに何の責任も取らずに党の要職についていることも加算されて、怒りは頂点に達している。

 つまり、彼女たちからしてみれば、過去に嫌な思い出しかない搾取、ズルい、無責任の三拍子が揃った耐え難い存在が、小池都知事と「徒党」を組んでいるように見えてしまうわけだ。このことは間違いなく小池都知事の3選にとって大きな足枷になるだろう。

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