最も広島らしい野球人は誰?

近畿圏でも滋賀について矢野氏は、「近江商人の伝統があり、県内の商業高校では今でも実践的な教育を行っています。いわば日本の商売人のルーツといえる土地ですから、先を読むことに秀でた人が育ちやすい。野球でも、投手は打者の心理を探り、先を読む投球が大切なんじゃないでしょうか」

滋賀出身で、地元の八幡商業高校で学んだのが則本昂大。先を読むことに秀でたのか、2年目ですでにエースに成長している。

そして、自他ともに認める"野球王国"大阪だ。大阪の摂津市に生まれ、名門・PL学園から巨人に入団して活躍した野球評論家の橋本清氏は、大阪人の気質をこう証言する。

「僕もそうやけど、まず大阪ではボーイズリーグやリトルリーグが充実していて、小さい頃から硬式のボールに慣れています。強いチームが並み居る中で鍛えられているから、みんな、まずハートが強い。プロ野球選手にとって、これが一番大事。僕も現役時代、バッターと睨み合ったりすると、もちろん心の中でやけど、"なんや、コラ!しばき回すぞ!"と思ってたもんね(笑)」

関西でもやや地味な印象の奈良県人には、巨人の亀井義行がいる。奈良出身者には、真面目で穏やかという特長があるが、 「亀井は本当に悩むタチ。打てないときはもちろんですが、バッティングが絶好調でも"……なんで俺、こんなに打てるんやろう?"と悩んでいる。そこまで悩みながら、巨人というチームでやっていられることがすごい」(巨人担当記者)

中国地方では九里が鳥取県出身者として10年ぶりのプロ野球選手となったが、「スポーツ選手ばかりか、もともと芸能人も出にくい土地柄。昔から農業や商業こそが仕事で、それ以外は"遊び"という土壌があるんです」(矢野氏)

ところが、お隣の広島は野球選手を続々と輩出しているのだから面白い。

解説者時代、全国放送でなまり全開でしゃべりまくった"広島弁の伝道者"こと達川光男が広島人の象徴とされているが、

「ある意味、最も広島らしい野球人は、中日の谷繁元信捕手兼任監督かもしれません。かつて、自軍の投手が不甲斐ない投球をすると、マスク越しに睨みつけ、タイムをかけて駆け寄るや"テメェ"と怒鳴りつけ、腹に一発入れたとか……。気性の激しい広島人らしいですね」(テレビ局関係者)

こ、怖い……。

四国は日照時間も長く、気候も温暖。そのためか、高校野球の歴代勝率も高知が2位、愛媛が3位に。

「四国の子はカラッとしてるよね。それと、高校生のうちに成長し切って、プロに入ってから伸び幅がない印象がある」(片岡氏)


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