魔のカーブ&橋から今夏の予測まで!
危険箇所編


制限速度100キロという高速走行においては、普段の走行時には問題にならない道路の構造が、ドライバーに危険を招きかねない。たとえば"トンネルを抜けた直後というのは目の前が真っ白になり、視覚を失うために事故を起こしやすい"というのは、ドライバーの常識だが、その"逆"はあまり知られていない。

「明るい場所からトンネルに入ると、一瞬、周りが真っ暗に感じて何も見えなくなることがあるんです。この危険な現象の経験がある人も多いと思いますが、実は、これは年齢を重ねるほどに強くなります」こう話すのは、くるま総合研究会代表の相川潔氏だ。

トンネル付近で事故が多発するのは、これら入り口と出口の"視覚喪失"によるものと考えられるが、そうなると怖いのは高速道路の「トンネル連続部」だ。

「こうした箇所は、実は日本中にあります。なかでも、名古屋と北陸を結ぶ東海北陸道は全線において、また、山陽道の姫路市近辺の権現湖PA~龍野ICや、中国道の広島北JCT~吉和IC間は要注意です。というのも、この3か所は長短のトンネルが不規則に連続するので、危険度が増すんです」(交通ジャーナリスト・村松虎太郎氏)

その対策として前出・相川氏は、「トンネルの入り口・出口の両方で、直前に目を細めることで、明るさや暗がりに慣れさせることができます。ただし、出るときより入るときのほうが目の反応が鈍くなることを念頭に入れておいてください」

また、道路の構造上、時間や季節を問わず、常に強烈な横風が襲う地点もある。

「現在、東京と大阪を最短で結ぶルート上にある伊勢湾岸道は、まさに代表例。自分のハンドル操作に集中しなければならないのは当然ですが、周囲の車のよろつきにも気を回さないと、接触事故に繋がってしまいます」(前同)

トラック会社を経営する運転ジャーナリストの千賀伊博氏は、注意点として「車高の高い車の周りを走らない」ことを挙げる。

「車高が高ければ風の影響を受けやすいので、その周囲を走行するなんて危険です。大型トラックはまだしも、4トン級のトラックは車体が軽いため、横転事故を起こしやすいですよ」

また、速度標識の設置場所がもたらす危険箇所にも注意が必要だ。

「東北道の上り線では、すべての車が浦和料金所で一度停まらなければいけません。そのための減速表示が本線上でなされているため、それに従う車がいる一方で、減速表示がかなり前からされているために、無視して高速走行する車もかなりいるんです。速度の異なる車両が入り乱れるこの区間は、いつも危険に感じますよ」(トラックドライバー)

さらに、上信越道の更埴(こうしょく)JCTの急カーブも、それに近い。減速しなければ曲がり切れないため、40キロ規制になっているのだが、その道路標識が掲げられているのは、問題のカーブの500メートル手前だという。

「その標識を見て、本線の上限速度(80キロ)から減速したものの、なぜ速度制限があるのか不思議に思うほど、直線が続くんです。でも、その後に急カーブが突然現れるので、初めて通ったときは急ブレーキで対応するしかありませんでした。道路標識が、無用な危険を生みかねない場所ですよ」(製造業の営業マン)

また、お盆や年末年始の繁忙期に、いくら注意を呼びかけても一向に減らない事故が、渋滞車列への突っ込み事故だ。

「事故渋滞を除けば、渋滞する場所は基本的に"常連"の場所がほとんど。そのうえ、日本道路交通情報センターが繁忙期の渋滞予測を出しているほか、リアルタイムの渋滞情報を携帯電話でも見られるサイトで公表していますから、高速道路の利用時はぜひ活用してほしいですね」(前出・村松氏)

同センターによると、このお盆は10キロ以上の渋滞が全国で389か所予測されており、ピークは、下り線が13日、上り線が16日。特に、今年は上り線の渋滞が多く発生する見込みだ。

また、地点別にみると、東名高速上りの大和トンネルで50キロ(16日午後4時頃)、神戸淡路鳴門道上りの舞子トンネル出口で47キロ(16日午後6時頃)の渋滞を予測。また、上りの高坂SA付近(16日午後5時頃)と関越道下りの東松山IC付近(13日午前8時頃)、東名下りの伊勢原BS(同)、中国道下りの宝塚東トンネル(同)の4か所で35キロの渋滞発生が見込まれている。

前述した追突事故以外にも気をつけたいのが、バッテリー。

渋滞で車が動かないまま長時間エアコンをガンガンに使用し続けると、バッテリーが上がってしまう恐れがあるからだ。といって、冷房を止めれば発汗作用で脱水症状や熱中症を引き起こしてしまう。

ドライビングアドバイザーの小森玲子氏が言う。

「不測の事態を防ぐため、塩レモン水やスポーツドリンクを用意しておくといいでしょう。ミネラルウォーターでは、トイレが近くなってしまいますから」

せっかくの帰省や行楽を台無しにしないためにも、出発前のチェックや準備を欠かさずしていただきたい。
 

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