台風では東側地域が危険地帯

昨年10月、フィリピンで約1900人もの死者を出した台風30号は、毎秒65メートルの最大風速を記録した。

「突風のみならず津波のような高潮が海辺の人々を飲み込む大惨事となりましたが、これは他人事ではありません。実際、日本でも過去に同規模の台風が到来しています」(前同)

1959年に発生した「伊勢湾台風」(死者5000人あまり)や、61年の「第二室戸台風」も最大風速はスーパー台風級なのだ。

「地球の温暖化が進むと、スーパー台風の発生率が今以上に高くなり、日本にも次々と襲来するという研究予測もあります」(同)

そこでぜひ知ってもらいたいのが、天気予報から読み取る台風の脅威である。「台風の勢力図には黄色い円と赤い円があります。これは平均風速を表しており、黄色の円の範囲は15メートル以上の強風域で、赤い円の範囲は25メートル以上の暴風域を表しています」(同)

雨量同様に、平均風速も甘く見積もってはいけない。毎秒15メートル以上で、風で飛ばされた物で窓ガラスが割れ、鋼製シャッターも壊れる強さ。さらに同25メートル以上になると、樹木が根こそぎ倒れてブロック塀は壊れ、同30メートル以上では木造住宅の全壊が始まるとされる。

それだけではない。台風は自分の住む地域から離れていても、思わぬ被害をもたらすという。

「今年の台風11号が典型的なケース。四国から近畿地方を縦断したんですが、その際の8月10日、台風中心部から約500キロ離れた栃木県で竜巻が起こり、477棟に被害が発生。"レインバンド"と呼ばれる帯状に発達した積乱雲が原因です」(前出とは別の気象予報士)

台風が反時計回りに巨大な渦を巻く関係で、その東側の地域に突如、竜巻や暴風、集中豪雨が発生する確率が高いというのだ。

「これから秋になると、秋雨前線の影響で"長雨"も続きます。この夏の豪雨のせいで土壌水分量が高い地域も多い。そういう場所では土砂崩れなどが一段と起こりやすくなるので、天気予報には常に注意を払っていただきたい」(前同)

天気予報の一層の理解は命を救う一歩目なのだ。

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