――そんな歴史の先に映画『25』があるわけですが、翔さんは警察官の役だそうですね。これはどういう人物ですか?

哀川 ワケありの25億円をワケありの25人が奪い合うって話なんだけど、俺が演じる桜井もその1人ですね。桜井は衣装を見てもわかる通り、ちょっと普通の警官じゃない。この衣装は監督のこだわりだったんだけど、チャラさとか爽やかさみたいなものが醸し出されてて、その辺に桜井のキャラクターが見え隠れしてる感じかな。

――警官だけど、25億の争奪戦に加わってことは、悪徳警官?

哀川 いや、桜井は「悪」というよりは「ワル」だと思う。「ワル」と「悪」って微妙に違うじゃない? 一般社会でも、ここまでは「ワルイよな、お前」で笑って許されるけど、ここから先は「悪」で、許されないっていう、ギリギリの線引きがあるでしょ? それをわかるためには、子供の頃に、ある程度ワルさをして叩かれてないとダメなんだけど。今回キャスティングされた人たちは、一回ギリギリのところで「おっと危ない、こっから先はダメだな」と経験してきて生き残ってきた人が多いんじゃないかな。なんかそんな気がしますね。
ちょっとくらいの「ワル」ならいいけど、やっぱり「悪」はダメだよね。それはヤクザとか任侠ものをやったときの1つのテーマじゃない? 『ここまでやったら人は死ぬんだよ、殺されるんだよ、だから見極めて生きていきなさい』ってことを、わかりやすく見せるのがヤクザ映画だと思うんだ。ヤクザ映画における「ワル」と「悪」の線引きは相当ギリギリで、どっちに転ぶかは紙一重なんだけど、それを反面教師的に教える役目もあると思う。だから、今ヤクザ映画は肩身がせまいけど、ある意味では世の中に必要なものでもあるわけ。「悪」が出てくるものをすべて排除しようするなんて逆にヤバいよ。

――翔さんが思う、許せない「悪」って、たとえば?

哀川 最近の事件でいうと、子供を誘拐するようなやつは「悪」だよ。それはもう完全に「悪」。やっぱり男としては「悪」と対峙したときどうするかって身の振り方を考えておくことも大事だと思う。要は、あなたの子供が誘拐されて殺されたとしたらどうしますか? ってこと。俺? 俺は確実に殺す。絶対に殺す。そりゃそうだよ!……え、ダメ?(笑)
まぁそれは極端な話としても、「悪」にならず、「ワル」で許されるラインはどこか……。この『25』も「ワル」と「悪」が入り乱れてる。その線引きって見る人によって違うだろうから、この人はどっちかな、なんてみんなで考えながら見てもらうと面白いかもしれないね。

――今回、Vシネマ25周年記念作品が製作されて、数あるスターのなかでも、翔さんが主演を務めることに対して、どういう思いがありますか?

哀川 俺が主演でいいのかなっていう思いもあるんだけど、でもまぁ、俺なりのやり方で、ちゃんと立たせてもらうんでね。それはなにかっていうと、現場がいかに円滑に回るかってこと。俺はそれがテーマだから。25年経っても、俺のなかに「この芝居が……」みたいなのは全然ないの。それは監督がやってくれることで、俺はいかに現場が円滑に回って、スムーズに進んで、楽しい打ち上げが行えるか。常にこの目標に向かって進んでる。だからちゃんと俺の役目はあるぞ、みたいな(笑)。
今回、いろんなメンバーがこの作品に対して思いを持ってきてくれてると思います。それぞれの25年が『25』には映し出されると思う。それって普通の作品とは違う出演の仕方だと違うから、どんな作品が上がってくるのが楽しみだね。
記念作品ではあるけど、Vシネマにとってはあくまで通過点。まだまだ先に進んでほしいですね。もちろん、その通過点に関わった俺たちはキッチリ足跡を残すべきだし、そういうやり方をしなきゃいけないと思う。そこはキッチリやりますよ。


(文:大道絵里子)


“Vシネの帝王”哀川翔 主演
『25 NIJYU-GO』
11月1日(土)全国公開!!


悪徳刑事コンビ、横領公務員、老舗ヤクザ、強欲ホステス、謎の殺し屋……。『ワケアリ』の現金25億円に、25人の悪党たちがそれぞれの思惑を胸に、一気に群がる!! 裏社会を舞台に繰り広げられる、欲望と本能のバトルロワイヤル。25億円を奪うのは、いったいどの悪党か!?

出演:哀川翔、寺島進、高岡早紀、温水洋一、小沢仁志ほか
脚本:柏原寛司、大川俊道、岡芳郎、ハセベバクシンオー
監督:鹿島勤

●『25 NIJYU-GO』公式サイト
http://nijyu-go.com/

●【東映×日刊大衆 特別企画】マンガ版『25 NIJYU-GO』公開中!!
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