うちのカアちゃんは、なぜあんなに変わってしまったのか、なぜオレのやることなすこと気に入らないのか。

「女房は変わった」

そうお嘆きの方は多い。多いというより、ほとんどの男性がそうかも。

「俺がオナラすると怒るんですよ。だから、"悪い悪い"とか謝るんです。ところが女房がオナラをしたから文句を言うと、ギッとにらむんです。あぜんとしちゃいます。だいいち昔は俺の前で歩きながら屁をこくなんて考えられなかった」(Sさん= 59=調理師)

「たまにはいい夫になろうと思って、皿洗いを手伝おうとすると、"手を出さないで"とピシャリと言われました」(Nさん= 51=トラック運転手)

「夕飯に枝豆が出てきたときに"テレビでやってたけど、砂糖を一つまみ入れるとグンとうまくなるんだってよ"と教えてやったのに、返事もしなかった」(Wさん= 66=世論調査員)

妻はどうして、こんなふうになってしまったのか?

このほど『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか』という、そのものズバリの書名の本を出版した石蔵文信・大阪樟蔭(しょういん)女子大学教授(58)に聞いた。

「皆さん、"妻は変わった"と言いますが、違うんですよ。奥さんは昔からずっと我慢し続けて夫と暮らしていた。なのに夫が気づかなかっただけなんです」

そ、そうだったの!?

「そうですよ。夫は30代、40代と、家庭や妻をそっちのけで仕事に打ち込みます。妻は住宅ローンや子どもの教育費の心配があるし、育児の手助けも欲しいから、夫の勝手を我慢していました。ところが男も50代になると、一家の主人としての価値が下がってきます。そのうえ、家にいる時間が増えるので――リタイアすればなおさらですが、家を自分の城にしていた奥さんにすれば邪魔でたまりません。世の中の80~90%の家庭はあまりうまくいっていないと思いますが、それでも維持しているのは奥さんが我慢しているから、もっているだけでしょう。オナラをするのは、一種の復讐でしょうかね(笑)」

石蔵教授によると、女性は本来わがままで自分勝手な生き物だという。気持ちもころころ変わりやすいし、話もあちこちへ飛ぶ。

「ところが若い男は性ホルモンがバンバン出ているので、少し気がおかしくなっている。だから冷静に女性の本質が見抜けないんです。カマキリのオスだって繁殖期にはのぼせあがっているから、後で命を取られるのがわかっているのにメスにのしかかるというばかげた行動を取るわけでしょ? 人間の若いオスも、メスのわがままさえ"いとおしい"と思ってしまうのです。性ホルモンが減ってきて目が覚め、初めて自分の奥さんの正体(笑)に気づくんです。これは女性も同じです」

石蔵教授は医師でもあるから、説得力がありますね。

「遺伝子をまきちらしたいというオスの本能を考えると、一夫一婦制度には無理があると思いますが、しかし、してしまった結婚を後悔しても始まらない。シニアになっての離婚は実にキツイものですよ」

家事、特に料理ができないシニア男性の独り暮らしは深刻らしい。うつ病だけではなく、それ以上の悲劇に至る場合が少なくないと石蔵教授は言う。では、どうしたらいいのか?

「諦めるしかありませんね(笑)」

そりゃまた殺生な。

「いや、そのほうがいいんです。女性は、男には理解できない思考回路を持っています。男の考えで理解しようとしてはいけません。たとえばデパートへ行って、男は必要な物しか買いませんが、女性は何かを思いつくと、他の売り場へ行って予定のなかった物も買います。男は言わなくても伝わる、以心伝心ということがあると思いますが、女性は"ハア? なにそれ"です。女性は過去の男を瞬時に忘れますが、怒りや恨みは、男のように水に流すなどということをしません。どうです。思い当たるでしょう?」

なるほど。「『エイリアン』という映画があったでしょ? 女性は 男にとって、あのエイリアンなんですよ。だから、わかり合おうとか、わかってもらおうなんてことは考えないほうがいいんです」

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