エイリアン妻と戦うべからず


石蔵教授によれば、敵は異星の生物(エイリアン)なのだから、下手に戦っても食い殺されてしまう。抵抗しても消耗するだけ。妻はワケのわからないことで爆発することが(ご存じのように)よくあるが、極力刺激しなければ、あなたの老後はまあまあ無事である可能性が高いという。上のコラムは、石蔵教授お薦めのエイリアン対策15か条だ。不機嫌妻の地雷を踏まないように、しっかり順守しよう。

普通の地雷は足元にしかないが、妻の地雷は空気中にも天井にもあるから気をつけないと。冒頭のNさんは皿洗いを手伝おうとして叱られたが、⑨の地雷を踏んだのだ。たかが皿洗いにも奥さんの流儀がある。おっと「たかが皿洗い」などという言い方が、そもそもよくない。

⑦の冷蔵庫の奥に見つけた古い食材は、「こんなのがあったぞ」と言うだけで嫌味になってしまう。妻に見つからないように、そっと捨てること。

①の妻の話は、近所やパート先のろくでもない話などが多いものだが、「聞いているふり」でもいいらしい。奥さんはあなたに解決法など期待していないし、意見さえ求めていない。言いたいだけなのだ。だから先方の話が終わるまで席を立ってはいけない。

③のセリフのうち「ごめんなさい」は、言いつけているうちに反射的に出るようになるという。哀しい慣れだが、しかたがない。

「愛してる」は、いきなり言うと119番をされるかもしれないから、それに近い言葉から始めよう。

とにかく奥さんが不機嫌だったら、それは自分のせいだと思ったほうがよいようだ。その場合も「僕が何かした?」などと聞いたら、どんな目に遭うかわからないから慎むように。石蔵教授自身も、酒を飲んで夜遅く帰っても、早朝4時に起きてノルマの皿洗いをするという(奥さまも働いている)。

「会社で上司にやれと言われた仕事は徹夜してでもやるでしょう? それと 同じなんですよ。飲んでいたからなんて言い訳したら、"家事をなめんなよ"と叱られるかもしれません(笑)」

それにしても、中高年亭主はここまで妻にへりくだらなくてはならないのだろうか。気を失いそうになった記者(57)だが、石蔵教授は「穏やかな後半生の家庭を望むなら、これぐらいの努力は当たり前」ときっぱり言い切り、突き放す。

さらには「やらないと、もっとひどいことになりますよ」とおどかされてしまった。「うちは食洗機を使っているんですが、私も妻の言うとおりの皿の入れ方をしなかったため、危うく離婚話にまで発展しかかったことがあります(笑)。とにかく、家庭では妻は自分の上司か、パートナーではなくてクライアント(顧客)だと思ったほうがいいですよ。ホストになりきる(コラムの④)のは、そういう意味です。そのつもりでいたほうが、すべてうまくいくんです。しかも、そういうふうに奥さんに接していると、次第に慣れていきますから」

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