50代の3人に1人が貯金ゼロ

身もフタもない現実だが、やはり、先立つものは"お金"である。
第一生命経済研究所・経済調査部の熊野英生氏が警鐘を鳴らす。
「政府の外郭団体である金融広報調査委員会の調査によると、50代で金融資産(現預金・その他の金融商品)を持っていない割合は、2007年では20・6%と5人に1人の割合でした。それが、13年になると、実に33%。3人に1人の割合まで上がりました」
長引く不況のためだろうか、50代の3人に1人は貯金が1円もないというのだが、お金があっても安易に胸を撫でおろせはしまい。前述のBさんのように、退職時に退職金を含めて2000万円程度の蓄えがあっても心もとないという。

経済評論家の杉村富生氏が、こう語る。
「この低金利の時代、2000万円を普通預金に預けただけでは金利収入を見込めません。仮に預金を毎月10万ずつ取り崩したら、17年で底をついてしまいます」
一方、日本人男性の平均寿命は現在、80・21歳にまで伸びた。
逆算すれば、63歳の時点で2000万円の蓄えがあって、ようやく平均寿命まで人並みの生活ができるということだ。
加えて、"負債"に数えられる住宅ローンも問題だ。
「45歳でようやくマイホームの夢を実現しても、30年ローンを抱え、定年で年金収入だけとなれば、破綻する恐れは十分にあります。55歳の時点でローンが残っていれば、なんとか60歳までに繰り上げ返済することが大事です」(前同)
そして、お金と同じく大切なのは(7)の健康不安への対策。常日頃から気を配り、病気にならないことだ。

以上の努力も空しく、結果、破産しそうになってしまうこともあるだろう。
「その場合、速やかに生活保護を申請することです。恥だと思うケースが目立ちますが、まず社会に迷惑をかけるという意識を捨てることが大事です。誰もが健康で文化的な最低限の生活を送れるというのは、憲法で認められた権利。生活保護申請の前に、役所では法律相談を無料で行っていますから、弁護士に相談してみることも大切でしょう」(前出・門倉氏)

一度しかない人生。55歳から十分に備えて、晴れ晴れとした老後を送ろうではありませんか。

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