加藤紘一の娘を応援した谷垣

現役バリバリでまだまだ枯れない谷垣氏だが、今衆院選では"政治の師"とあがめる加藤紘一・元幹事長の地元・山形3区に強い思い入れがあったという。
「現在、同選挙区は加藤紘一氏が引退し、その娘・鮎子氏が自民党公認で出馬。谷垣氏は、鮎子氏の講演会で"鮎子さんを東京に送っていただいたら、若い頃、(私が)加藤(紘一)先生にしていただいたように、立派に働いてくれる政治家に育て上げる。私がお約束する!"と、熱弁しきりでした」(地元紙記者)

00年の"加藤の乱"の際、森喜朗首相(当時)への内閣不信任案の賛成に走ろうとした加藤氏に、谷垣氏が、
「加藤先生が大将なんだから、一人で突撃なんてダメですよ」
と泣いて諌めた行動は、現在も"お人よし谷垣"を語る際、永田町では必ず引用されるエピソードだ。「
加藤紘一氏は、反安倍急先鋒の一人です。その後継者を最も熱心に、最も強く谷垣氏が応援したのは紛れもない事実。そこに、人のよさでなく、谷垣氏の"安倍首相に取って代わろう"という秘めた思いを感じ取る向きは少なくありません」(前同)

前出の鈴木氏が言う。
「個人的事情もあります。というのも、自民党の規約で定年70歳以後、小選挙区からは出馬できないと定められており、今、69歳の谷垣氏は、このままでは引っかかってしまいます。ですので、来年9月の自民党総裁選は、谷垣氏にとって最後のチャンス。勝負に打って出る可能性は十分ありますよ」

一方、これら手強い獅子身中の虫を抱えた安倍首相も、黙って指をくわえて見ているだけではない。
「長期政権を視野に入れ始めた安倍首相は、ライバル潰しは怠りません。最大の一手が、先の内閣改造で谷垣氏を幹事長に据えたことです」(前出・ベテラン政治記者)
谷垣氏を党ナンバー2に就けることで、石破氏のライバルとして急浮上させる奇手を打ったのだ。
「ライバルが石破氏一人なら、一騎打ちになり、党は二分されます。そこで、谷垣氏を幹事長に起用したため、総裁候補は複数になりました。それぞれの支持層は分断され、結果的に、ライバル勢力は弱体化。安倍首相に有利に働くという思惑です」(前同)
一番の敵は党内に――今、安倍首相の手腕が試されている。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3