警察にとってはただの"お祭り"!?

「ドライバーは、交通の流れに沿って安全運転をしていれば大丈夫なんだと刷り込まれています。しかし、警察にとっては"道路交通法の遵守=交通安全"なんです。これといった具体的な危険性は関係なく、少しでも道路交通法に引っ掛かれば、びしびし取り締まっていく。つまり、日々ハンドルを握っているドライバーが考える交通安全と警察の交通安全は違う。これがわかっていない人が、この運動のいいカモとなってしまうんです」(前出・今井氏)

運動が終わったあとの警察官たちの動きを見ても、デタラメさが一目瞭然だという。
「運動後、フル出勤していた警官たちが一斉に休みを取ったり、現場に出ていたために溜まってしまった事務仕事に専念する。祭りのあとの静けさではありませんが、直後の数日間はほとんど現場に出られないらしいんです。本末転倒もいいところ。これが定例化しているなら、この運動の存在意義を問いたくなりますよ。ドライバーにとっては恐怖の期間でも、警察にとっては、ただの"お祭り"みたいなものですからね」(鶴田氏)

また、取締り以外のところでも、こんなキナ臭い情報が伝わってきた。その年の旬なタレントが起用される『全国交通安全運動ポスター』だ。
「あのポスターは、複数の広告代理店から売り込まれ、警察は無料で使用することもあるんですよ。代理店やタレント事務所は、警察に大きな"貸し"を作れるうえに大変な宣伝効果もありますから、喜んでプレゼンしてくるそうです。候補のポスターを廊下に張り出して、AKB48総選挙さながらに、"今年は連ドラで話題になったあの子だ!""いや、あのアイドルグループの誰かだろう"なんて、人気投票をやった年もあったようです。そういったところも、やっぱり"お祭り"なんですよね」(前出・警察OB)

不当な取締りが囁かれる裏で、警察がどこか浮かれているようにも見える。納得がいかない取締りを受けたことがあるドライバーにとっては腹立たしいこと、このうえないだろう。
だが、我々は、この「全国交通安全運動」ばかりに気を取られていてはいけないようだ。「それ以外にも、年末の"飲酒運転特別取締り強化月間"など、各県警、各地域で、さまざまに強化月間が設定されています。その月は当然、数字を上げないといけません。そのため、"あそこのスナックは、車で来て飲むヤツがいる"とわかっている場合、普段は見逃しておいて、強化月間の実績用に残しておくなんて、ふざけたことが普通に行われていたりするんです」(今井氏)

さらに、ドライバーにとっては最も怖い、いきなりの逮捕もありうるということ。いわば、「逮捕強化月間」なるものも存在するというのだ。「この期間中はオービスなどを含む違反で出頭を拒んでいる違反者を、じゃんじゃん逮捕するんです。反則金不納付のドライバーは結構な人数いますから、普段なら、すべてを処理するのは不可能ですが、この期間中にはやる。しかも、これは反則金を支払わせる、いわば"見せしめ逮捕"のようなものだから、タチが悪い。新聞やテレビで、たびたび"反則金不納付で何十人逮捕"のような見出しが躍るのが、それですね」(前同)

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