脳梗塞といえば、一般には高血圧、糖尿病、喫煙、肥満などが危険因子とされる。こうした症状や習慣を持つ人は、日常的に注意を払う必要がある。

だが、長嶋監督は健康には人一倍気をつけ、これらの危険因子は持っていなかったとされる。にもかかわらず、脳梗塞を患ってしまったところに、心原性脳塞栓症の恐ろしさがある。
「心房細動になっても自覚症状がなく、したがって放置している方が多いからです。心電図検査で発見できますから、定期的に健康診断を受けている会社員なら気づくことができる。しかし、心電図検査を受ける機会がないとなると、なかなか発見が難しいのが実情なんです。そうした点からすれば、この心原性脳塞栓症は3つの主な脳梗塞タイプの中で、最も怖いとも言えます」(前同)

オシム・元サッカー日本代表監督が倒れたのも、小渕恵三・元首相の死因も、この心原性脳塞栓症だ。

脳にダメージを与える引き金、それが、「過度のストレス」だ。

産業医の下村洋一氏は、こう語る。
「高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、過度の飲酒、そして心房細動と、危険因子ははっきりしています。ストレスは、いわばこうした"不発弾"を爆発させ、脳梗塞を起こす直接の引き金になりえます。なぜなら、過度のストレスがかかると確実に血圧が上がるからです」

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