"1日2食"で無理なく痩せる

病気のリスクを回避するには、日々の食事とともに、適度な運動が必要。
感染免疫学・寄生虫学の視点からの公衆衛生研究の第一人者で、"寄生虫博士"としても知られる東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏は、「朝陽を浴びての体内時計リセット」を実践している。
「朝は5時、冬は6時には起きて太陽を浴びながら深呼吸のあと、30分程度のウォーキングが私の健康の秘訣です。55歳のとき、テレビ番組内での測定で、肉体年齢は66歳と言われてショックを受けました。あれから20年経って、肉体年齢は64歳に若返った。持病の糖尿も、すっかり良くなりました(笑)」(藤田氏=以下同)

藤田氏の健康法の基本は、本業の免疫学に基づく腸内細菌活性化。病気にならないための免疫機能の実に7割は、「腸内細菌と腸の免疫細胞が築いている」からだという。
腸の免疫細胞を元気にするための一つとして、前述の早起きウォーキングを実践している。
「人間の体内時計は24時間と11分。なのでリセットしてあげないと時計リズムが狂い、腸内細菌も活性化しなくなります。京都府立医科大学の八木田和弘教授らの研究で、この体内時計とがんの関係が明らかになってきています。私は近年のがん患者の増加は夜のシフトワーク、昼夜逆転の生活が増え、体内時計リズムが狂ったままの人が急増していることと関係していると思うんです」

藤田氏によれば、人間の体は60兆個もの細胞でできており、1日にその2%、つまり1兆2000億個もが生まれ変わっているそうだ。そのため、体内時計が狂うと細胞分裂がうまくいかず、がんにつながりやすいという。
腸をいたわってやらないと、ビタミンの合成ができない、十分な消化ができない(悪玉菌の増大)、腸で作られるセロトニンが出ないなど、腸は悲鳴を上げる。それを防ぐためにも、ぜひ早起きして犬の散歩やコンビニへの買い物など、朝の運動を習慣化していただきたい。

トシを取ると、どうしても腹周りにぷよぷよとゼイ肉がついてくる。だが、過度の肥満はさまざまな病気を招く元凶。
男性更年期障害、バイアグラ研究でも有名な大阪樟蔭女子大学学芸部健康栄養学科教授の石蔵文信氏は、ダイエットも兼ねて「1日2食主義」を貫いている。
「完全な朝晩2食だけですと、さすがに午後2~3時過ぎには空腹を感じます。私の場合、出勤時に大好きなケーキや大福などを買っておき、小腹を満たします。昼食をガッチリ取った場合と違い、満腹にならない分、仕事にもスムーズに戻れますよ」(石蔵氏=以下同)

奥様に70キロをオーバーすると離婚すると脅され、絶食とリバウンドを繰り返した末、たどり着いたのがこの方法だったという。
3食をきちんと取る習慣が日本人の間に定着したのは、明治以降のたかだか150年程度のこと。
「電灯がない昔は、起きてまず仕事をしてから朝食。そして昼も仕事を続け"八つ時(午後3時頃)"に間食だけして、明るいうちに仕事を終える。夕食を食べ、暗くなったら、さっさと寝ていたんです」
見方を変えれば、江戸以前の日本人は何も食べない状態を8~12時間確保し、胃と腸を空にして、しっかり休めていた。

ところが、現代人は体を動かさなくなり、3食&間食を取るため、太ってしまうのは当然。
「私の2食方式ならば、無理なく痩せられます。簡単に言えば、満腹のときは目の前を獲物が通っても見向きしない"ライオン方式"。この方式では多少の飢餓感が出るので、何でもおいしく感じられる。さらに性欲も湧くという、思わぬ"副産物"ももたらしてくれるんです」

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