心の健康のためには脳活体操

いつまでも元気でいるためには、肉体だけでなく、心が健康であることも重要だ。
脳内物質セロトニン研究の第一人者で、東邦大学名誉教授の有田秀穂氏が実践しているのは「セロトニンエクササイズ」。ストレス解消、うつ病予防、集中力を高めるなどのため、セロトニンの分泌を促す脳活体操だ。
「私は20年来、これを毎朝行っています。ただし、これまで何度も改良を重ねており、今行っているのは、5~6世紀の中国の陶弘景という医師が伝えている、古代中国の呼吸法を組み合わせた体操です。6つの声を出しながら行うので、初心者でも正しく呼吸ができます。やると頭が目覚め、心も本当に落ち着きます」(有田氏=以下同)

体操のくわしいやり方は有田氏の近著『脳ストレスが消える!』(宝島社)を参照していただきたいのだが、そもそも、なぜセロトニンが重要なのか。
「私たちの脳には、心を支配する神経が大別して3つあります。やる気に関係する神経には主にドーパミン、ストレスに反応する神経にはノルアドレナリンが作用します。そして、このドーパミン、ノルアドレナリンの暴走を抑え、心のバランスを整える第3の神経に作用するのが、セロトニンです」

ドーパミンが過剰になると過食症や依存症、ノルアドレナリンが過剰だとパニック障害や、うつになりやすいという。そこで、セロトニンの役割が重要になってくる。
ひとつの言葉を無心かつリズミカルに繰り返しながらのウォーキング、深く呼吸をしながらの座禅これらにより、セロトニンが活性化することが、有田氏の研究室による「血中セロトニン量測定結果」からもわかっている。
近年のウォーキングや瞑想ブームは、体だけでなく、心の健康の実感もあってのことなのかもしれない。
大切なことは、日々のコツコツとした積み重ね。高い生命保険料を支払うより、病気を防ぐ健康法を実践してみてはいかがだろうか。

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