梨園の名優が、すい臓がんで亡くなった。闘病生活2年の末の痛ましい死だが、誰にとっても他人事ではない。日々の暮らしから"死に至る病"にかかるリスクを診断!

2月21日、歌舞伎役者の坂東三津五郎さんが59歳の若さで亡くなった。
一昨年9月に、すい臓がんを手術。順調に回復しているかと思われたが、昨年9月、肺への転移が見つかり、帰らぬ人となった。
梨園屈指の名優だけに、その早すぎる死が悔まれるが、日本人の3人に1人が、がんで亡くなっているのも悲しい現実だ。
予防医学の専門家である新潟大学名誉教授(医学博士)の岡田正彦氏が言う。
「がんには遺伝性もありますし、偶然できてしまう場合もあります。ですから、若いのに運が悪くということもあるんです。でも、発がん要因の多くは、生活習慣を改めれば予防できるもの。完全に実行すれば、私は80%ぐらいの確率で、予防できると考えています」

では、がんにかかるリスクを減らすには、日々、何をすればいいのか。生活習慣を具体的に検証する前に、がんの仕組みを岡田氏に解説してもらおう。
「人の細胞には、細胞分裂がほどほどに行われるように、ブレーキをかける役割の遺伝子が存在します。この遺伝子が何かのはずみで傷つくと、コントロールが利かなくなり、分裂を始める。この状態ががんです」

そして、正常細胞が"暴走"するきっかけになるものを"発がん要因"と呼び、よく知られた代表格が紫外線、放射線、排気ガス。
それゆえ、太陽から放射される紫外線を浴びる日光浴は、皮膚がんのリスクを高める危険があるので、やめたほうが無難だろう。
また「がん検診」は、レントゲン撮影などで放射線を浴びるので、がんリスクが高まってしまうという。

「それに、自動車の排気ガス、工場排煙、木くず、防水など各種スプレー、ホコリなどの細かい物質は吸い込んではいけません。だから、住むなら都心より、空気のきれいな田舎がいいですし、日曜大工をするならマスクは必須です」
また、タバコにがんリスクがあることは有名だが、軽視されがちなのが、タバコの煙を吸わされている周囲の人々への悪影響だ。

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