日常の暮らしを支える大事な制度を解説。見落としがちな事例も把握し、正当な権利を取り逃さないようにしよう!

アベノミクスの恩恵を受けるのは一部の大企業や富裕層ばかり。円安による輸入物価の急上昇に加え、消費税増税後の消費意欲の減少もあって、庶民が景気回復の恩恵を受けることはほとんどないのが現状だ。
「そんなときには、もらえる給付金を探して、苦しい家計を助けてもらいましょう」
こう勧めるのは、わかりやすいお金の話でテレビやラジオで人気を博する風呂内亜矢氏。『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』(日本実業出版社)などの著書もある人気ファイナンシャルプランナーだ。

そもそも「給付金」や「助成金」とは何だろうか?
「給付金、助成金、補助金など、いくつか呼び方はありますが、どれも国や地方自治体、独立行政法人などから申請次第で支給されるお金のことで、内容にはあまり違いはありません(以下、給付金に統一)」(風呂内氏=以下同)

ただし、年収が高すぎたり、すでに生活保護を受けていたりすると、給付金支給の対象外になるケースが多いようだ。
「基本的には私たちの暮らしを助ける目的で作られた制度ですが、多くの給付金には、お上の"こんな街にしたい"という希望が反映されています。たとえば、子育て世帯向けの給付金を支給することで"子育てしやすい街だな"と思わせ、若い家族を呼び込むなど、自治体のイメージアップを狙ったものもあります」

そんな給付金の一番のポイントは、"支給"と言っても自動的に私たちの口座に振り込まれるわけではないということ。消費税率の引き上げに伴い暫定的に実施、昨年に引き続き今年度も支給されることが決定した「臨時福祉給付金」や「子育て世帯臨時特例給付金」にしても、それは同じ。
「自分から情報を集めて手続きをしないと、1円ももらえないまま損をすることになりますよ」

そこで、意外と知らない"日々の生活"の中でもらえる「ニッポンの給付金」を徹底紹介! こんなに得するのか、と目からウロコが落ちること必至だ。

まずは、生活費の中で大きなウエイトを占める「住居」に関する給付金。
マイホームを購入したときに最大30万円を受け取れる「すまい給付金」は有名だが、「賃貸暮らしは関係ない」と諦めていた人も多いだろう。そんな人に朗報だ。
「全国の複数の自治体で、賃貸暮らしの人向けに『家賃助成』や『引越し助成』の制度があります。東京都新宿区では『民間賃貸住宅家賃助成』として、子育て世帯に月額3万円(最長5年間)を支給。単身者の場合は月額1万円(最長3年間)を支給しています。また、『子育てファミリー世帯居住支援』として、区外からの転入の際に礼金・仲介手数料の合計で最大36万円、さらに引っ越し費用の実費を最大20万円支給しています」

毎回募集数を上回り、抽選になるようだが、一定以下の収入であること、月額家賃が22万円以下(子育て世帯の家賃助成の場合)であることなど、条件は比較的クリアしやすいものばかり。引っ越しを考えている人は、転居先に同じような制度がないか確認して、応募してみるといいだろう。

また、少し変わったものとしては、「屋上緑化・壁面緑化助成制度」がある。
東京都大田区では、所有する住居の屋上や壁面を緑化した場合、最大50万円までが支給される。都会の緑の少なさを、市民レベルから解消していくのが主な目的だ。
他にも「意外な給付金」は数多い。

次に紹介するのは、「仕事」に関係する給付金だ。失業中に、「失業給付金」を受け取れることを知っている人は多いだろうが、実は、それ以外にももらえるお金があるのだ。
「職業安定所の管轄区域外の会社に面接に行った場合、交通費や宿泊費(6大都市圏では1泊8700円)が『広域求職活動費』として支給されます。また、職安の紹介で再就職したときや、公共職業訓練を受講するために引っ越しをした場合にも、『移転費』として交通費や引っ越し費用(9万3000円~28万2000円)、着後手当(3万8000円)が支給されます」

給付には諸条件があるが、これらの給付金の存在を知っていれば、「交通費がかかるから」「引っ越すお金がないから」といった理由で、遠方での就職を諦めずに済む。お金がもらえるだけでなく、より良い条件の就職先を探せる可能性が高まる意味でも、ありがたい給付金なのだ。

仮に失業で職探しすら難しい困窮状態に陥った場合には、「住宅支援給付金」をもらう手もある。これは、失業中に住居がない、もしくは今後住居を失うおそれのある人が対象となる給付金で、家賃を除いた月収入が8万4000円以下(単身者)の場合に家賃相当額が原則3か月間(最長9か月間)支給される。困ったときのためにもぜひ覚えておこう。

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